ホームIMICライブラリMMWR抄訳2012年(Vol.61)ある州立精神病院における致死性の食品媒介Clost・・・
2012/08/17Vol. 61 / No. 32
MMWR61(32):605-608
Fatal Foodborne Clostridium perfringensIllness at a State Psychiatric Hospital - Louisiana, 2010
Clostridium perfringens(ウェルシュ菌)はアメリカにおける食品媒介疾患の原因の第3位である。主な症状は12~24時間続く自己限定性の下痢であり、致死率は0.03%未満と低い。死因は通常脱水症であり、年少者や高齢者、疾患による虚弱者でみられる。2010年5月7日、ルイジアナ州立精神病院で入院患者42例、スタッフ12例が嘔吐、腹部痙攣、下痢を発症し、24時間以内に3例(41~61歳)が死亡した。死亡した3例は、腸運動抑制という抗コリン性副作用を有する薬物(クエチアピン、フルフェナジン、ベンズトロピン、クロザピン)を服用していた。剖検の結果、3例中2例の死因は壊死性大腸炎であった。Louisiana Office of Public Health(OPH)とCDCの調査により、5月6日の夕食に出された鶏肉と疾患との関連が明らかになった。鶏肉は夕食の約24時間前に調理され、病院のガイドラインで指示されている冷蔵保存をしていなかった。症状が発現した入院患者およびスタッフ23例より便検体を採取し、20例の検体でC.perfringensエンテロトキシンが検出された。食事媒介C.perfringens疾患にはC.perfringensのタイプAとタイプCが関与するが、鶏と便検体から分離されたC.perfringensトキシンの遺伝子検査にてβ毒素遺伝子が陰性であったことから、C.perfringensタイプAの関与が示唆された。精神病院を含め薬物療法や疾患、年齢などにより腸運動が低下している患者のいる施設では、C.perfringens感染による壊死性大腸炎の発症リスクを低下させるため厳格な調理ガイドラインを定めて食品媒介C.perfringens疾患を予防する必要がある。
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