ホームIMICライブラリMMWR抄訳2011年(Vol.60)麻痺性貝中毒-アラスカ南東部、2011年5月~6月
2011/11/18Vol. 60 / No. 45
MMWR60(45):1554-1556
Paralytic Shellfish Poisoning - Southeast Alaska, May-June 2011
麻痺性貝中毒(PSP)は致死性のある予防可能な疾患であり、一部の海藻や二枚貝類が産生する神経毒(サキシトキシン)の摂取により発症する。この報告は、2011年5月~6月にアラスカ州南東部で発生したPSPのアウトブレイクについて述べたものである。2011年6月3日、アラスカ州南東部のAnnette Island、Metlakatlaに住む52歳の男性が口周囲のしびれ感、手の刺痛、若干の呼吸困難を発症し地域の医療施設を受診した。発症前に自家用に採取した貝類を食べていたことからPSPと診断し、2011年6月6日にPSP症例としてAlaska Division of Public HealthのSection of Epidemiology(SOE)に報告した。本症例はその後症状が悪化したため、Ketchikan に搬送されICUに入院した。SOEと地域の関係機関は、2011年春にアラスカ海域で自家用に採取した貝類を摂取後に感覚異常を発症した患者をPSP可能性例、このうち尿中にサキシトキシンが検出された患者あるいは発症前に摂取した貝のサキシトキシン含有量=80μg/むき身100gであった患者をPSP確定例として調査を開始した。最終的に、MetlakatlaとKetchikanで2011年5月~6月に発症したPSPの確定例8例と可能性例13例を同定した。21例全例が感覚異常を発症し、貝類の摂取から発症までの期間は1分未満~3.75時間(中央値30分)であった。4例(19%)が入院したが、死亡例はなかった。15例(71%)はcockle(ザルガイ類)、4例(19%)はblue mussel(イガイ)を摂取していた。PSP患者が食べたcockleと同時に採取されたcockleと患者が食べ残したblue musselから、高レベルのサキシトキシンが検出された。またPSPに関連した貝類が採取された海岸から新たに採取した貝類もサキシトキシン陽性であった。これら地域では、貝類の自家用採取禁止の警告をラジオとテレビで放送し、海岸や郵便局、行政機関、職場などに掲示した。市販用に採取した貝類は、PSPの原因となる毒素の検査が行われるため安全である。PSPのリスクは予測不能であるため、消費者は自家用に採取したアラスカ産の貝類にPSPのリスクがあることを知っておく必要がある。またPSPが疑われた場合には、防御対策を開始するため迅速にSOEに報告するべきである。
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