ホームIMICライブラリMMWR抄訳2011年(Vol.60)野生型ポリオウイルス伝播遮断の進歩-世界的状況、2・・・
2011/05/13Vol. 60 / No. 18
MMWR60(18):582-586
Progress Toward Interruption of Wild Poliovirus Transmission - Worldwide, January 2010-March 2011
2010年~2011年第1四半期におけるポリオ根絶への進捗状況を報告する。2009年における12ヶ月齢までの3価ポリオウイルスワクチン接種の3回接種率(Pol3)は83%(アフリカ地域:72%、アメリカ地域:91%、東地中海地域:86%、ヨーロッパ地域:96%、東南アジア地域:74%、西太平洋地域:97%)であった。2010年におけるOPV(経口生ポリオワクチン)によるSIAs(追加予防接種活動)は49ヶ国にて309回実施され、約40,000万人に対し221,000万回の接種が行われた。接種されたワクチンは3価経口ワクチン(tOPV):33%、1価経口ワクチン1型(mOPV1):23%、1価OPV3型:4%、2価OPV1,3型:40%であった。急性弛緩性麻痺(AFP)サーベイランスでは、2010年、ポリオの発生を認めた20ヶ国のうち13ヶ国(65%)にて15歳未満の小児10万人あたりの非ポリオAFP発症率が2例以上であり、80%以上の症例にて検体が採取されていた。2010年における野生型ポリオウイルス(WPV)症例は1,291例であり、2009年(1,604例)から19%減少した。タジキスタンおよびコンゴ共和国(DRC)におけるアウトブレイクによる症例は840例(全てWPV1)であり、WPV1:1,204例の約70%を占めた。このアウトブレイクによりWPV1症例は2009年:492例から145%の増加となった。WPV3症例は2009年:1,122例から2010年:87例と92%減少していた。1,291例のうち232例(18%)はポリオが依然風土病である4ヶ国(アフガニスタン、パキスタン、インド、ナイジェリア)、159例(12%)はアンゴラ、チャド、コンゴ共和国(DRC) における再伝播によるものであり、900例(70%)はDRC、タジキスタンを含む13ヶ国におけるアウトブレイクによる症例であった。2010年にポリオフリーとなった11ヶ国にて発生した新たにアウトブレイクは、9ヶ国にて6ヶ月以内に終息したが、コンゴおよびウガンダにおけるアウトブレイクおよびコートジボワール、ガボン、マリ、ニジェールにて2011年に発生したアウトブレイクは現在追跡中である。また、2011年1~3月においては、チャド、DRCおよびパキスタンにおいて2010年の同時期よりも多くの症例が認められている。世界的ポリオ根絶イニシアティブ(GPEI)戦略計画では、全ての国でのWPV伝播を2012年末までに終息させるとされており、ポリオの根絶には今後さらに資金と政治的介入が必要であると思われる。
Copyright © 2013 International Medical Information Center. All Rights Reserved.