ホームIMICライブラリMMWR抄訳2009年(Vol.58)狂犬病罹患コウモリへのヒトの曝露-モンタナ、200・・・
2009/05/29Vol. 58 / No. 20
MMWR58(20):557-561
Human Exposures to a Rabid Bat - Montana, 2008
2008 年9月29日、Ravalli County Public Health Department(RCPHD)はMontana Department of Public Health and Human Services(MDPHHS)に小学校で死亡したコウモリに多数の人が曝露したことを報告した。この報告はその曝露の概要とその後の公衆衛生対策について述べ、リスク情報の統一の重要性を強調する。9月28日、Ravalli Countyの小学校に通っている2名の児童の親が、飼い猫が運んできた死亡したコウモリを見つけた。親は死骸を容器に入れ、翌日(9月29日)下校するまでという約束で子供の登校時に一緒に持っていった。コウモリは容器から出されて8教室(幼稚園:1、5年生:4、4年生:3)で呈示され、少なくとも5 教室の児童と教師、他の学校スタッフが触れた。その後、学校看護師がRCPHDに報告し、RCPHDは親にコウモリの狂犬病診断を行うよう勧めた。午後、親は子供を学外のサッカー教室に送る際にもコウモリをもっていき、数人の子供が触れた。9月30日、コウモリはMontana Veterinary Diagnostic Laboratory(MVDL)に送られ、10月1日に脳から狂犬病ウイルスが検出された。10月16日、CDCはコウモリ(Silver- haired bat)に関連したウイルス変異株(Lasionycteris noctivagans)を同定した。9月30日、学校の事務局はコウモリに触れた児童がいた5教室(幼稚園と5年生)の生徒の家庭のみに狂犬病ウイルスへの曝露の可能性に関する手紙を送り、検査結果が出た10月1日にはそれら家庭に検査結果が陽性であったことを電話で伝えた。10月3日には学校で RCPHD・MDPHSの代表者と地域の医師1名、獣医師1名が狂犬病、曝露後予防(PEP)、ワクチンの安全性に関する情報提供と質疑応答を行い、10 月4日にMDPHSはコウモリに曝露した人数を調査するためCDCに支援を要請した。10月7日、全107名(学校の児童:97名、スタッフ:10名、 5~61歳)について調査が行われた。米国予防接種諮問委員会(ACIP)の指針に基づき狂犬病のPEPを勧告されたのは、指にコウモリの歯が刺さった可能性のある1名(1%)のみであった。残りの106名中89名は口以外の部位に触れており、15名は全く触れていなかった(2名は回答拒否)ため、PEP は推奨されなかった。その後、咬まれた可能性のある1名を含む74名(69%)が狂犬病のPEPを希望し、ヒト狂犬病免疫グロブリンおよびワクチン接種の総費用は75,000ドルを超えた。本報告時PEPによる有害事象の報告はなく、この事例に関連したヒト狂犬病症例の報告もない。2回目のPEP(全5回接種)接種時に59名を対象として意思決定のための最も重要な情報源について調査したところ、医師が31%(18例)、家族や友人が22%(13例)、インターネットが20%(12例)、保健所やCDCが15%(9例)であり、多くのワクチン接種者がプライマリーケア医にリスク評価の診察を受け、予防接種クリニックにPEPを希望した可能性が示唆された。狂犬病ウイルスへの大規模曝露の可能性があった場合、狂犬病PEPの適切な使用を確実にするため医師は ACIP勧告と一致した指導を行う必要がある。
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