ホームIMICライブラリMMWR抄訳2009年(Vol.58)生きた家禽によるSalmonella感染症の多州に・・・
2009/01/23Vol. 58 / No. 2
MMWR58(2):25-29
Multistate Outbreaks of SalmonellaInfections Associated with Live Poultry - United States, 2007
2007 年にアメリカで発生した2件のSalmonellaMontevideo感染症のアウトブレイクの概要を報告する。2007年6月、Minnesota Department of Health(MDH) Public Health Laboratory は患者2例の検体から同じパルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)パターン(PFGEパターン1)を示すS.Montevideoを分離した。その後の調査でこれら2例は同じアイオワ州の孵化場(A)から購入した鶏に曝露されたことが判明した。さらに2007年 9月、ノースダコタ州でPFGEパターン1によるS.Montebideo感染者7例が確認され、これら全例が孵化場Aから購入したヒヨコに曝露されていたことが明らかになった。その後全国調査を行い、 2007年1月~12月に発症したPFGEパターン1のS.Montevideo感染者65例(ミネソタ州・ノースダコタ州の患者を含む)を確認した。これら65例中26例(42%)は女性で、年齢中央値は25歳 (生後2ヶ月~84歳)、24例(40%)は18歳未満であった。インタビューに回答した33例全例が下痢を症状とし(14例[42%]は血性下痢)、8 例(24%)が入院した。死亡例はなかった。33例中23例(70%)は発症前5日間に生きた家禽への曝露経験があった。家禽の購入先は19例中11例が農業飼料販売店、8例が孵化場の通信販売であり、幼鳥の孵化場は20例中9例が孵化場A、11例が他の4州の7ヶ所の孵化場であった。もう1件のS.Montevideo菌株(PFGEパターン2)による感染症のアウトブレイクでは2007年2月~10月に23州で感染者64例が確認された。このうち 32例(50%)は女性で、年齢中央値は5歳(生後3ヶ月~85歳)、43例(70%)は18歳未満であった。インタビューに回答した38例の症状は全例が下痢(15例[54%]は血性下痢)で、8例(21%)が入院した。38例中30例(79%)は発症前5日間に生きた家禽への曝露経験があり、家禽の購入先は31例中26例が農業飼料販売店、2例が孵化場の通信販売、幼鳥の孵化場は20例中18例がニューメキシコ州の孵化場(B)、2例がオハイオ州の孵化場(C)であった。農業飼料販売店や孵化場の通信販売で購入した生きた家禽を原因とするSalmonella感染症のリスクは持続している。Salmonella感染症の予防には、孵化場や農業飼料販売店での購入者に対する鳥類からヒトへのSalmonella伝播のリスクやその予防法を記載した文書の提供などを含む包括的な感染制御戦略が必要である。
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