ホームIMICライブラリMMWR抄訳2008年(Vol.57)商業漁業による死亡者数-カリフォルニア、オレゴン、・・・
MMWR抄訳
2008/04/25Vol. 57 / No. 16
MMWR57(16):425-429
Commercial Fishing Fatalities - California, Oregon, and Washington, 2000-2006
商業漁業による死亡者数-カリフォルニア、オレゴン、ワシントン州、2000~2006年
2000~2006年のアメリカにおける業務上の年間平均死亡率は労働者10万人あたり4であるが、商業漁業による年間平均死亡率は漁師10万人あたり115と高く、漁業は最も危険な職業の1つとなっている。アラスカ州では1990年代に漁師に対して安全介入が行われ、州の商業漁業による死亡率が低下していることから、CDCは太平洋沿岸の3州(カリフォルニア、オレゴン、ワシントン)における安全介入の必要性を判断するため、2000~2006年の商業漁業による死亡率のデータ分析を行った。この期間における死者は58名であり、州別ではオレゴン:21名、カリフォルニア:20名、ワシントン:17名、年別では2000年:8名、2001年:7名、2002年:10名、2003年:8名、2004年:10名、2005年:5名、2006年:10名であった。全例男性であり、平均年齢は39歳、43名(74%)は船(23隻)の転覆や沈没、11名(19%)は船外への転落、4名(7%)はその他(甲板や潜水時の事故)による死亡であった。43名が死亡した船の転覆や沈没の原因は天候(34名)、高波(17名)、洪水(16名)、操縦不能(11名)、座礁(8名)などが多く、また、救助用のボートが船に装備されていないか故障していたことにより24名が死亡し、さらに9名はボートにたどり着かず死亡した。11名が死亡した船外への転落原因は不明(目撃者なし、6名)、転ぶ/滑る(6名)、ギアの巻き込み(3名)、濡れた/滑る甲板(3名)、アルコールやドラッグの使用(3名)などであり、全員ライフジャケットを着用していなかった。船が転覆・沈没した23隻中アメリカ沿岸警備隊による任意保安検査のステッカーは3隻(13%)が有し、3隻が失効、12隻は検査を受けておらず(4隻は小型船のため検査対象外)、ライフジャケットは3名が着用、31名は非着用であった(9名不明)。漁種別では貝漁師が最も高く23名(40%)、次いで鮭/遠洋魚15名(26%)、深海魚10名(17%)であった。この3州における平均年間専業漁師数(FTE)は2,076名であり、FTE 10万人あたりの死亡率は全体で238とアメリカ平均(115)およびアラスカ州(107)の約2倍と高く、漁種別では貝漁師362、鮭/遠洋業132、深海業72であった。救命具装着の徹底や緊急時の対応、避難用具の改良および使用法の訓練、天気予報の精度向上など、安全介入の必要性が示唆される。
References
- US Department of Labor, Bureau of Labor Statistics. Injuries, illnesses, and fatalities: Census of Fatal Occupational Injuries (CFOI)-current and revised data. Washington, DC: US Department of Labor, Bureau of Labor Statistics; 2008. Available at <http://www.bls.gov/iif/oshcfoi1.htm>.
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- CDC. Fatal injuries to civilian workers in the United States, 1980-1995. Cincinnati, OH: US Department of Health and Human Services, CDC, National Institute for Occupational Safety and Health; 2001. NIOSH publication no. 2001-129. Available at <http://www.cdc.gov/niosh/docs/2001-129/2001129pd.html>.
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