ホームIMICライブラリMMWR抄訳2005年(Vol.54)ドミニカ人コミュニティの小児における血清中ポリオウ・・・
2005/06/17Vol. 54 / No. 23
MMWR54(23):580-581
Seroprevalence of Poliovirus Antibodies Among Children in a Dominican Community - Puerto Rico, 2002
2000年7月-2001年7月、イスパニョーラ島(ハイチ共和国、ドミニカ共和国[DR])において循環ワクチン由来ポリオウイルス(cVDPV)による麻痺性ポリオのアウトブレイクが起こり、21例が1型経口ポリオワクチン(OPV)株による麻痺性ポリオを発症した。cVDPVによるアウトブレイクは、ポリオウイルス(PV)に対する免疫レベルが低く野生型ポリオウイルス(WPV)の循環がみられないコミュニティの小児で発生する。アメリカ地域は1994年にポリオフリーとして認証されており、米国領プエルトリコ(PR)でも1974年以降麻痺性ポリオの発症はみられてない。しかしPRはDRとの距離が約72マイルと近く、DRからの観光客や移民はPVに対するワクチン接種が不十分である可能性があるため、PR Department of Health(PRDH)とCDCはPRの首都San JuanのDRコミュニティにおける生後7-60ヶ月の小児180名を対象とし、血清中PV抗体保有率の調査を行った。PV血清型1、2、3に対する中和抗体保有者数は、180名中それぞれ170名(94.4%)、176名(97.8%)、168名(93.3%)であった。162名(90%)は3種類全ての抗体を保有しており、13名は2種類、2名は1種類の抗体を保有していたが、3名(2.0%)は全ての抗体を保有していなかった。また、PV免疫性に関連する因子について検討したところ、PVワクチン接種歴が3回以上の小児は3回未満の小児よりも3種類全ての血清型について予防可能レベルの抗体価の保有率が高いようであった。今回調査したコミュニティの小児の大部分はPVの3種類全ての血清型に対する中和抗体を保有していたことから、このコミュニティではcVDPVあるいはWPVのアウトブレイクのリスクは低いと考える。しかし全世界でPVが根絶されるまでは、様々な感染源(輸入WPV、cVDPVなど)による麻痺性ポリオのアウトブレイクを防ぐために就学前の小児における高いワクチン接種率を維持する必要がある。
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