ホームIMICライブラリMMWR抄訳2005年(Vol.54)小売ペットショップで購入したげっ歯類による多剤耐性・・・
2005/05/06Vol. 54 / No. 17
MMWR54(17):429-433
Outbreak of Multidrug-Resistant Salmonella Typhimurium Associated with Rodents Purchased at Retail Pet Stores - United States, December 2003-October 2004
2004年、Minnesota Department of Health(MDH)公衆衛生研究所はミネソタ州のあるペット販売業者が所有する病気のハムスターから多剤耐性Salmonellaenterica血清型Typhimuriumが分離されたことをCDCに報告した。2004年6月、サウスカロライナ州の4歳男児が高熱と水様便、腹部痙攣のため入院し、便培養にてS.Typhimuriumが検出された。彼の家族は発症の9日前に小売ペットショップからハムスターを購入しており、そのハムスターは購入から2日後死亡していた。また2004年8月、ミネソタ州の5歳男児が下痢と腹部痙攣、嘔吐、高熱を発症し、便培養にてS.Typhimuriumが検出された。彼の家族は発症の4日前に小売ペットショップからマウスを購入していた。マウスは購入1週間後死亡した。マウスの肺、肝臓、脾臓、腸からはS.Typhimuriumが検出され、そのPFGEパターンは男児由来分離菌と区別がつかなかった。8月30日、ミネソタ州ペット販売業者の獣医がUniversity of Minnesota Veterinary Diagnostic Laboratory(UMVDL)に提出された2匹の病気のハムスターからSalmonella が分離されたことをMDHに報告した。このハムスターはアイオワ州のペット販売業者から8月15日にミネソタ州の販売業者へ船で発送された780匹のうちの2匹であった。この780匹中243匹はミネソタ州の販売業者から中西部4州の15ヶ所の小売ペットショップに送られたが、その後多数のハムスターが死亡したため8月23日に販売を中止した。この販売業者では8月29日までに残り537匹中約320匹(60%)が死亡し、他のハムスターは安楽死させられた。UMVDLは、この船で発送されたハムスターのうち剖検用に提出された7匹の内臓よりSalmonellaを分離した。この分離菌のPFGEパターンは7匹全て同一であり、またミネソタ州とサウスカロライナ州の患者由来の分離菌とも区別がつかなかった。ミネソタ州とサウスカロライナ州の症例を確認後、CDCとMDHはその他のげっ歯類曝露によるSalmonella感染症例について調査を行った。2004年のPulseNet National Salmonella Databaseに提出された分離菌についてレビューした結果、19州における28例でS.Typhimuriumが分離されていることが明らかになった。インタビューを行った22例中13例(59%)は小売ペットショップから購入したげっ歯類に曝露されており、2例(9%)は二次的曝露によりサルモネラ症を発症していた。これら15例は10州(イリノイ、ケンタッキー、ミズーリ、ペンシルベニア、サウスカロライナ、ジョージア、ミシガン、ミネソタ、ニュージャージー、ノースカロライナ)から報告されており、発症日は2003年12月23日-2004年9月28日、年齢中央値は16歳(0-43歳)で、7例(47%)は7歳未満であった。ヒトおよび動物のS.Typhimurium分離株は、アンピシリン、クロラムフェニコール、ストレプトマイシン、スルフィゾキサゾール、テトラサイクリンに耐性であった。CDCと地域および州保健局、U.S. Department of Agriculture Animal Careは、感染源としてげっ歯類のトレースバック調査を実施した。小売ペットショップで販売されたげっ歯類の多くはジョージア州とアーカンソー州のペット販売業者より供給されていたことが明らかになったが、アイオワ州の販売業者を含めこれら主要3ヶ所の販売業者間で共通した関連性は確認されず、この多州にわたるアウトブレイクの感染源は不明である。ペットのげっ歯類の取り扱いは、特に小児において健康上のリスクがあり、健康管理者はペットのげっ歯類がサルモネラ症の原因となる可能性があることを考慮するべきである。
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