ホームIMICライブラリMMWR抄訳2005年(Vol.54)非違法薬物による中毒死の増加-ユタ州、1991~2・・・
2005/01/21Vol. 54 / No. 2
MMWR54(2):33-36
Increase in Poisoning Deaths Caused by Non-Illicit Drugs - Utah, 1991-2003
CDCとユタ州は、増加しつつある非故意、非意図的な薬物中毒死の傾向を1991―1998年および1999―2003年の監察医データから分析した。ユタ州における薬物中毒による死亡者を、原因薬物別に違法薬物、非違法薬物、違法薬物+非違法薬物に分類し、さらに意図的(自殺、殺人)であるか、非意図的または不明であるか調査した。その結果、1991―2003年における薬物中毒による死亡者は2,396名であり、違法薬物による死亡者は947名、非違法薬物1,277名、違法薬物+非違法薬物は172名であった。このうち、非違法薬物による死亡者は1991年55名から2003年273名に増加し、非意図的または不明と判断された死亡者は733名であった。違法薬物による死亡者は1991―1998年で増加し、以後減少に転じ2003年で92名となり、違法薬物+非違法薬物による死亡者は1991―2002年にかけて微増し、2003年に急増した(2002年15名、2003年35名)。1991―1998年と1999―2003年に分けて比較した場合、年齢別では45―54歳が42名から142名と最も増加しており、男女別では女性での増加率が男性に比べて高く(人口10万人あたり男性:1,86から4.90、女性:1.08から3.90)、地域別では地方部での増加率が高かった(都市部:1.53から4.15、地方部:1.25から5.21)。またBMI値による比較では、体重過多(BMI:25.0-29.9)または肥満(BMI:30以上)の患者が正常(BMI:25.0以下)な患者に比べ高かった(1999―2003年においてそれぞれ5.26、14.25、3.61)。また、原因となった非違法薬物はメサドンや麻薬性鎮痛処方薬が主であり、メサドンによる死亡者は18名から164名(7.8%から32.7%)、麻薬性鎮痛薬(プロポキシフェン、ヒドロコドンなど)による死亡者は79名から239名(34.2%から47.6%)に増加していた。メサドンは鎮痛目的に処方される新薬として、その供給量は1997-2002年にユタ州では約6倍、国内全体では約5倍に増加している。違法に入手可能な麻薬性鎮痛薬とともに、服用する場合の危険因子の分析、危険性に関する情報提供などの措置が望まれる。
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