ホームIMICライブラリMMWR抄訳2010年(Vol.59)局所的に発生したデング熱-フロリダ州キーウエスト、・・・
2010/05/21Vol. 59 / No. 19
MMWR59(19):577-581
Locally Acquired Dengue - Key West, Florida, 2009-2010
世界におけるデング熱の発症数は年間約500~1,000万、死亡数は約25,000例と推定されている。アメリカ大陸では1946~1980年、発症例は報告されていなかったが、1980年以降はテキサス州とメキシコの国境付近で局所的に数例報告されている。今回、2009年9月1日、ニューヨーク州在住の女性がフロリダ州キーウエストを旅行中にデング熱に感染した疑いがあると報告された。CDCはこの症例を確診し、キーウエストの医師に通達したが、その後2週間の間にキーウエストの住民2例の発症が確認された。これを受けてサーベイランスが強化され、2009年にさらに24例、2010年4月13日に1 例、計28例の感染が確認された。NY州在住の34歳女性は、2009年8月11日、発熱、頭痛、倦怠感および寒気を訴え近医を受診、尿検査で細菌尿および血尿を認め、尿路感染症の治療が行われた。17日、再受診の際、フロリダ州キーウエストへの旅行から帰宅した日に発症したことが判明、キーウエストにて複数ヶ所を蚊に刺されていたことから、デング熱免疫グロブリンM(IgM)抗体検査を行い、陽性となったため、Monroe County(Florida)Health Department(MCHD)へ報告し、さらに血清検体と脳脊髄液(CSF)をCDCに送付し、検査の結果、陽性が確認された。この症例は9月1日の時点で完治している。また、最新の発症例は2010年4月9日、キーウエスト在住の41歳男性、血尿、白血球減少、血小板減少のため入院。4月5日より筋肉痛、関節痛、発熱を訴え、7日には点状出血性発疹、歯肉からの出血を来した。デング熱を風土病とする地域や国外への渡航歴はなかった。Florida Department of Health(FDOH)は13日に採取した血清検体にてデング熱および西ナイルウイルスIgMを検出、CDCにてデング熱感染が確認された。感染が確認された28例は、年齢:15~73歳(中央値:47歳)、男19女9、発症は2009年7月22日~2010年4月5日、症状は発熱(全例)、筋肉痛 (23例)、頭痛(22例)、関節痛(18例)、発疹(15例)、眼痛(14例)、出血(6例)などが認められた。医師は国内外の亜熱帯地方への旅行歴のある症例が急性の発熱性疾患を訴える場合は、デング熱の鑑別診断を迅速に行うべきである。
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