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MMWR抄訳

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2007/02/23Vol. 56 / No. 7

MMWR56(7):138-141
Nephrogenic Fibrosing Dermopathy Associated with Exposure to Gadolinium-Containing Contrast Agents - St. Louis, Missouri, 2002-2006

ガドリニウム含有造影剤曝露による腎性線維化性皮膚症-ミズーリ州セントルイス、2002~2006年

腎性線維化性皮膚症(NFD)は、しばしば四肢に皮膚の肥厚や硬化をきたし、腎臓基礎疾患患者に発症する。皮膚病変は急速に進行し、時には関節硬直や歩行不能の原因となる。2006年5月、ミズーリ州セントルイスにあるA病院の腎臓専門医は、CDCおよびMissouri Department of Health and Senior Services(MoDHSS)に透析部で治療したNFD患者の1集団を報告した。CDCとMoDHSSは、発症患者数を割り出し、NFDの危険因子を特定する調査を実施した。33名のNFD患者がセントルイスで確認され、そのうち28名はA病院で治療し、この病院で対症例・対照研究が実施された。この報告は、その研究の予備段階の結果を要約し、磁気共鳴画像(MRI)により研究中のガドリニウム含有造影剤曝露はNFDとは別に関連すること、また医師はNFDの潜在性に留意する必要があり、進行性腎疾患患者にはガドリニウム含有造影剤の使用を避けるべきであることを指摘した。確認症例は、2000年1月から2006年8月までにセントルイスにおける腎疾患患者に発症したNFDと一致する臨床所見(皮膚の肥厚あるいは硬化)および皮膚生検所見と定義された。症例患者および対照の人口統計、合併疾患、投薬データは、A病院の入院患者、外来患者の医療記録から収集された。症例対照研究は、A病院からの確認症例を含み、症例が診断された同日に同病院の透析クリニックあるいは治療センターで治療された患者クループから1症例患者につき3対照例が任意に抽出された。これらの対症例は、少なくとも4週間透析を受けていたこと、あるいは適合日を遡る少なくとも6ヵ月に腎不全(血清中クレアチニン濃度2.5mg/dL)であったことが要求された。2002年12月から2006年8月までにA病院における28症例は、25件の確認症例、3件の疑似症例が含まれた。そのうちの症例対照研究の基準に合致した19名の確認症例患者の年齢中央値は50歳(範囲:21~67)で、10名は男性、透析月数の中央値は30ヵ月(範囲:0.1~192ヵ月)であった。5名の症例患者はNFD診断前1年以内にガドリニウム曝露は確認されなかったが、うち4名は診断前16~68ヵ月にガドリニウム曝露があり、他1名には証拠がなかった。前年にガドリニウム含有造影剤曝露のあった症例患者(n=14)および対照患者(n=14)のうち、症例患者は過去6ヵ月に初期の透析として腹膜透析を受ける可能性が高く(36%対0%)、透析期間の中央値が長かった(27ヵ月対10ヵ月)。13名の患者(症例患者9、対照患者4)は、前年に複数のガドリニウム含有造影剤曝露があった。

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