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MMWR抄訳

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2003/01/17Vol. 52 / No. 02

MMWR52(2) : 21- 24
Infant Botulism - New York City, 2001-2002

乳児ボツリヌス中毒-ニューヨーク市,2001~2002年

乳児ボツリヌス中毒は経口的に摂取したボツリヌス菌芽胞が腸管内で発芽、増殖し、産生された毒素により発症する。アメリカでの乳児ボツリヌス中毒の年間発症率は2/10万人、ニューヨーク市では4/10万人であるが、2001-2002年、スタッテン島では新生児5,899人中4人(68/10万人)が発症した。これら4例についての症例報告。 症例1)2001年6月、7週齢の母乳児が41℃の発熱、便秘、倦怠感、哺乳力低下、頭部のふらつきによりニュージャージー州の病院へ入院となった。刺激過敏、瞳孔反射遅延、泣き方異常、傾眠、呼吸障害、上気道閉塞がみられ、人工呼吸器を13日間装着した。発症から8日目、便検体からB型ボツリヌス菌が検出された。26日後、後遺症なく完治して退院に至った。 症例2)2001年12月、生後1ヶ月間便秘であった10週齢の人工乳児が2日間続く哺乳および嚥下困難を来し入院した。呼吸不全により人工呼吸器を10日間装着した。刺激過敏、無表情、全身性筋肉麻痺および便秘などの症状を呈し、発症から29日後、便培養によりB型ボツリヌス菌が検出された。静注ボツリヌス免疫グロブリン(BIG-IV)を投与し、20日後に完治して退院した。 症例3)2002年5月、18週齢の母乳児が傾眠、嚥下困難を1日間呈し、泣き方異常、無表情、呼吸筋麻痺もみられたため入院となり、上気道閉塞に対し人工呼吸器を8日間装着した。発症19日目、便培養によりB型ボツリヌス菌が検出されたためBIG-IVを投与し、16日後に完治して退院した。 症例4)2002年6月、3週齢の母乳および人工乳にて保育中の乳児が便秘、嗜眠、食欲減退を2日間呈し翌日入院となった。刺激過敏、瞳孔反射遅延、嚥下困難、泣き方異常、哺乳力低下、末梢神経麻痺を呈し、発症8日後の便検体からB型ボツリヌス菌が検出され、BIG-IV投与により10日後完治して退院した。 いずれの症例も入院中抗生物質を投与され完治に至った。ハチミツの摂取はなく、親のC.botulinumへの職業的な曝露の可能性も低かった。全例とも発症前の居住地はスタッテン島であり、互いに半径6マイル以内の範囲にあった。感染源の調査が進行中であるが、未だ特定はされていない。

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