ホームIMICライブラリMMWR抄訳2012年(Vol.61)A群血清型髄膜炎菌コンジュゲートワクチン導入前の髄・・・
2012/12/21Vol. 61 / No. 50
MMWR61(50):1025-1028
Evaluation of Meningitis Surveillance Before Introduction of Serogroup A Meningococcal Conjugate Vaccine - Burkina Faso and Mali
髄膜炎ベルトと呼ばれるサハラ以南のアフリカでは、毎年4億5千万もの人々がA群血清型髄膜炎菌の流行による脅威にさらされている。2009年に1~29歳のアフリカ人を対象としたA群血清型髄膜炎菌に対する新しいコンジュゲートワクチン(PsA-TT)が認可され、2010年から2011年にかけて高度浸潤地域国であるブルキナファソ、マリ、ニジェールで集団予防接種が行われた。新ワクチンの効果を評価するためには周年発生する髄膜炎の個々の症例について疫学的データと検査データを収集し、症例に基づくサーベイランスを実施する必要があり、検査室では髄膜炎菌の各種の血清型や、他の髄膜炎原因菌とA群血清型髄膜炎菌とを鑑別する必要がある。CDCは2010年、WHOアフリカ地域事務局の西アフリカ国際支援チームと共同し、ブルキナファソおよびマリにおける2007年の髄膜炎サーベイランスデータと国のサーベイランスシステムの評価を行った。ブルキナファソでは2007年、全55地域から計25,695例の髄膜炎症例が国の疾病監視機関に報告された。流行期間中、症例は週ごとに集計され、症例ごとのラインリストを付して報告された。ラインリストに記載のあった症例(10,614例)は集計報告の41%で、そのうち9,824例(93%)は髄液検体が採取されていた。地域の検査機関では、髄液の顕微鏡検査、グラム染色、白血球数計数を日常的に行っており、35%(3,428/9,824検体)で細菌性髄膜炎が示唆された。リファレンスラボラトリー(5施設)では、細菌培養とラテックス凝集検査を行っており、24%(685/2,898検体)が細菌性髄膜炎と確定された。マリでは2007年、全59地域から計978例の髄膜炎症例が国の疾病監視機関に報告された。採取された髄液の総数はわからずラインリストも添付されなかったため、報告の完全性は評価できなかった。髄液514検体が症例ごとのデータと共に国のリファレンスラボラトリーに届けられ、39%(198/514検体)が細菌性髄膜炎を示唆した。細菌培養とラテックス凝集検査を行っているリファレンスラボラトリー(1施設)では、細菌性髄膜炎は21%(106/514検体)と確定された。これらの結果から、両国ではサーベイランスに必要な検査基盤は整っているものの、データ管理や検体の輸送方法、検査機関の確定診断能力に改善の余地があることが示された。
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