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MMWR抄訳

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2011/10/07Vol. 60 / No. 39

MMWR60(39):1357-1358
Multistate Outbreak of Listeriosis Associated with Jensen Farms Cantaloupe - United States, August-September 2011

Jensen農場のカンタロープメロンに関連したリステリア症の複数の州におけるアウトブレイク-アメリカ、2011年8月~9月

リステリア症は主にListeria monocytogenesに汚染された食品の摂取によって発症し、発熱性胃腸炎から敗血症や髄膜脳炎といった侵襲性疾患まで様々な症状を呈する。2011年9月2日、Colorado Department of Public Health and Environment(CDPHE)は8月28日以降に報告されたリステリア症7例をCDCに報告した。9月6日までに7例全例にListeria Initiative質問票によるインタビューを行い、全例が発症前の1ヶ月間にカンタロープメロンを食べていたことが明らかになった。8月に採取された検体より、パルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)パターンの異なる3種類のL.monocytogenesアウトブレイク株が分離された。その後の確認例も含めたアウトブレイク関連リステリア症19例と2004年~2010年の8月中に同定された60歳以上の孤発性リステリア症85例のListeria Initiativeデータを比較した結果、アウトブレイク株によって引き起こされた疾患とカンタロープメロンの摂取との強力な関連が示唆された(メロン摂取率:それぞれ100%、64%)。またトレースバック調査の結果、患者が購入したメロンはコロラド州のJensen農場で生産されたものであることが確認された。メロンとの関連が明らかになった後、PulseNetは複数の州で第4のPFGEパターンを示すL.monocytogenesによるリステリア症の患者集団を確認した。Jensen農場から採取したカンタロープメロンのサンプルからこのPFGEパターンを示すL.monocytogenesが分離され、患者のインタビューでも多くの患者がカンタロープメロンを食べていたことより、このPFGEパターンを示す分離株もアウトブレイク株と考えた。全体として、9月29日までに19州で84例が4種類のアウトブレイク株のいずれかによるリステリア症を発症した。患者の年齢は35~96歳(88%は60歳以上)で、55%は女性(2例は妊婦)であり、15例が死亡した。食物摂取の情報が得られた62例中57例(92%)は発症前の1ヶ月間にカンタロープメロンを食べていた。患者の自宅にあったカンタロープメロンとJensen農場で生産されたカンタロープメロンのサンプルより、L.monocytogenesの4種類のアウトブレイク株が分離された。9月14日、Jensen農場はカンタロープメロンの自主回収を発表した。このアウトブレイクには次のような特徴がある。1)メロンによる初めてのリステリア症アウトブレイク、2)4種類のPFGEパターンの組み合わせと2種類の血清型(1/2a、1/2b)が関与、3)アウトブレイクが大規模であること(リステリア症は潜伏期間が長いため、今後も患者が増える可能性がある)、4)1998年のリステリア症アウトブレイク以降に発生したアメリカの食品由来アウトブレイクの中で死亡者数が最高。CDCはJensen農場のカンタロープメロンを食べないよう勧告しており、この勧告は特にリステリア症の発症リスクの高い人々(高齢者、免疫能が低下している人、妊婦など)にとって重要である。

References

  • Mead PS, Dunne EF, Graves L, et al. Nationwide outbreak of listeriosis due to contaminated meat. Epidemiol Infect 2006;134:744-51.
  • Linnan, MJ, Mascola L, Lou XD, et al. Epidemic listeriosis associated with Mexican-style cheese. N Engl J Med 1988;319:823-8.

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