ホームIMICライブラリMMWR抄訳2011年(Vol.60)ペットのキンカジューにおけるアライグマ回虫-3州、・・・
2011/03/18Vol. 60 / No. 10
MMWR60(10):302-305
Raccoon Roundworms in Pet Kinkajous - Three States, 1999 and 2010
Baylisascaris procyonis(BP)はアライグマ回虫の1つである。成虫は宿主の小腸に生存し、卵は便に存在する。終宿主ではない種がその卵を経口摂取すると、腸で孵化し、内臓、眼球、神経など広い範囲に幼虫が移行する。北アメリカではBPの終宿主はアライグマが広く知られているが、家庭犬なども終宿主となる場合がある。感染した動物の便には触れないこと、また、ペットは定期的に駆虫を行うことが感染防止となる。2010年4月、10週齢のキンカジューが定期健診のためテネシー州北東部の獣医を受診した。便の検査で多数の回虫の卵が検出され、商業研究施設にてBPと確認された。獣医はキンカジューに対しアルベンダゾールを投与し、飼い主に感染リスクと注意事項を指示するとともに、テネシー州保健局(TDH)に報告した。飼い主はキンカジューを2010年3月18日、テネシー州東部のペットショップで購入しており、ペットショップはフロリダ州南部の施設から購入していた。TDHとアメリカ農務省動物愛護局(USDA-AC)が過去2年間にペットショップで販売されたキンカジュー13匹の記録を調査した結果、12匹はペットショップが購入して販売し、1匹はショップにて繁殖された子どもであり、13匹のうち11匹が売れ(テネシー州:5、ミシガン、ケンタッキー、ノースカロライナ、フロリダ州:6)、2匹はショップに残っていた。購入した家庭を対象とした調査では、飼い主の衛生管理が優れており、BP感染例は認めていない。キンカジューの BP感染は1999年1月、インディアナ州にて細菌感染症のため死亡したキンカジューの検死の際に認められているが、ヒトでの感染は認められていない。アライグマ同様、キンカジューもBPの終宿主となるため、ペットとして飼育する場合にはそのリスクを十分に認識し、また、販売する側も注意を喚起する必要性が示唆される。
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