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オクトレオチドによる糖尿病性ケトアシドーシス

2016年1月掲載

薬剤 オクトレオチドホルモン剤(抗ホルモン剤を含む)
副作用 糖尿病性ケトアシドーシス
概要 33歳、女性。成長ホルモン産生下垂体腺腫術後残存に対して、薬物療法強化のため入院し、オクトレオチド(Oct)及びOct徐放性製剤を投与して退院となった。Oct導入前後にブドウ糖負荷試験を施行し、血糖コントロールの悪化がないことを確認したが、その後空腹時血糖値が若干上昇したため、ミグリトールを開始した。倦怠感が強く、食事摂取不能となり、糖尿病性ケトアシドーシスの診断で緊急入院となった。入院後は生理食塩水とインスリン投与で脱水と高血糖の是正を行い、入院3日目にはアシドーシスも改善し、食事を再開とした。

監修者コメント

Oct(サンドスタチン®)徐放性製剤は、持続性ソマトスタチンアナログであり、成長ホルモンなどの分泌を抑制することで、先端巨大症などの治療に用いられている。本症例は、成長ホルモン産生下垂体腺腫術後残存に対して、退院時にOct徐放性製剤を投与したところ、その2週間後に糖尿病性ケトアシドーシスを発症した。本症例のように、間歇的なOct投与では血糖コントロールの悪化が軽度であっても、Oct徐放性製剤投与後にインスリン分泌を抑制することで急激な血糖コントロール悪化をきたす可能性があるため、注意が必要である。

著者(発表者)
間中勝則ほか
所属施設名
東京大学医学部附属病院腎臓・内分泌内科
表題(演題)
GH産生下垂体腺腫術後残存に対してオクトレオチドLAR導入後にDKAを発症した1例
雑誌名(学会名)
第16回 日本内分泌学会関東甲信越支部学術集会 プログラム・抄録集 115 (2015)
第16回 日本内分泌学会関東甲信越支部学術集会 (2015.9.25-26)

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