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アデノシンによる冠攣縮性狭心症

2015年12月掲載

薬剤 アデノシンその他の治療を主目的としない医薬品
副作用 冠攣縮性狭心症
概要 57歳、女性。全身性エリテマトーデスおよび抗リン脂質抗体症候群で入院加療中であった。胸痛の原因精査の一環として虚血性心疾患の鑑別目的に、薬剤負荷Tc-MIBI心筋シンチグラフィを企て、アデノシンの静注負荷を実施した。静注開始後約3分に胸部不快感とともに12誘導心電図でST上昇を認めた。直ちにアデノシンの静注を中止し、数分後にST上昇は基線へと復し胸部症状も改善した。冠動脈に器質的狭窄病変は認められず、アデノシンにより誘発された冠攣縮性狭心症と診断した。

監修者コメント

アデノシンは十分に運動負荷をかけられない患者において、心筋血流シンチグラフィによる心臓疾患の診断の際の負荷誘導に使用される。アデノシンは薬理学的には冠動脈拡張作用を有しており、本症例のように冠攣縮性狭心症を誘発することは極めて稀であると考えられる。本剤投与による負荷試験中は注意深く患者を観察し、血圧および心電図のモニターを行い、胸部症状や虚血性変化などを認めた場合は、直ちに投与を中止し、適切な対応を行うことが重要である。

著者(発表者)
土橋慎太郎ほか
所属施設名
東邦大学医療センター大森病院循環器内科
表題(演題)
アデノシン負荷により誘発された冠攣縮性狭心症の1例
雑誌名(学会名)
第63回 日本心臓病学会学術集会 プログラム・抄録集(DVD-R) 549 (2015)
第63回 日本心臓病学会学術集会 (2015.9.18-20)

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