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アザシチジンによるSweet症候群

2015年12月掲載

薬剤 アザシチジン腫瘍用薬
副作用 Sweet症候群
概要 61歳、女性。骨髄異形成症候群(MDS)を発症し、低リスクMDSであったが、輸血依存状態のため貧血改善目的にアザシチジン(AZA)療法を導入した。治療後にGrade 4の好中球減少が出現、骨髄抑制が遷延し、発熱と歯肉炎が合併した。各種培養検査から起因菌は検出されなかったが、40℃以上の発熱が続いた。その後、背側部に水疱と硬結を伴う皮膚発赤が出現し、Sweet症候群と診断した。プレドニゾロンを内服開始したところ速やかに解熱し、徐々に皮膚症状の改善を認めた。以降のAZA治療中にもSweet症候群の再燃を繰り返したが、AZA治療継続で一時的に赤血球輸血依存から離脱できた。

監修者コメント

DNAメチル化阻害薬であるAZA(ビダーザ®)は、高リスクMDSにおいて生命予後改善の成績があり、重要な治療薬となっている。本症例では、MDSに対するAZAの投与により、背側部を中心に水疱と硬結を伴う皮膚発赤を認め、病理組織診により急性発熱性好中球性皮膚症であるSweet症候群と診断された。Sweet症候群は薬剤起因性の他、MDSや白血病などの造血器腫瘍に合併することも多い。本症例のSweet症候群が、AZAによる薬剤起因性であるのか、MDS関連であるかは不明であるが、MDSに対してAZAを用いた治療を行う場合には、本合併症に注意する必要がある。

著者(発表者)
吉田こず恵ほか
所属施設名
岩手県立胆沢病院血液内科ほか
表題(演題)
Azacitidine治療でSweet症候群を繰り返す骨髄異形成症候群
雑誌名(学会名)
岩手県立病院医学会雑誌 55(1) 57-62 (2015.8)
第75回 日本血液学会学術集会 (2013.10)

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