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肺炎球菌ワクチンによるSIRS

2015年10月掲載

薬剤 肺炎球菌ワクチン生物学的製剤
副作用 SIRS
概要 75歳、女性。近医で肺炎球菌ワクチンを左上肢に接種した翌日から悪寒、下肢脱力感が出現した。第3病日、症状悪化傾向であったため、左上肢腫脹、疼痛、全身倦怠感を主訴に当院に転院した。意識清明、体温39.8度、脈拍100回/分、血圧113/67mmHg。左上肢ワクチン接種部周囲の発赤、腫脹、疼痛あり。全身倦怠感が強く歩行困難。WBC17700/μL、CRP19mg/dL、CK504U/L。来院後ABPC投与を開始した。上肢の発赤、腫脹は次第に改善し、倦怠感も改善し、第8病日に退院した。

監修者コメント

全身性炎症反応症候群SIRS(Systemic Inflammatory Response Syndrome)は、侵襲に対応して免疫細胞が血中に放出した大量の炎症性サイトカインによる全身性の急性炎症反応である。多臓器不全に進展し、致死的となる症例も多い。本文献では、肺炎球菌ワクチン接種後にSIRSを発症した症例を報告している。肺炎球菌ワクチンは高齢者を中心に広く接種が行われている。稀ではあるが、副作用としてSIRSを発症する可能性に注意し、SIRSを疑う症状を認めた場合は、迅速に適切な対処を行う必要がある。

著者(発表者)
片山彩香ほか
所属施設名
群馬大学大学院医学系研究科救急医学ほか
表題(演題)
肺炎球菌ワクチン接種後SIRSの1例
雑誌名(学会名)
日本臨床救急医学会雑誌 18(2) 331 (2015.4)
第18回 日本臨床救急医学会総会・学術集会 (2015.6.4-6)

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