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パゾパニブによる腫瘍崩壊症候群

2015年10月掲載

薬剤 パゾパニブ腫瘍用薬
副作用 腫瘍崩壊症候群
概要 49歳、女性。右大腿部悪性線維性組織球腫、多発肺転移。術前化学療法6サイクル施行後、肺病変が増悪したため、救済治療としてパゾパニブを開始した。第4病日に尿酸、カリウム、LDHの上昇を認め、臨床検査値異常に基づく腫瘍崩壊症候群に相当した。パゾパニブを継続しつつ、腫瘍崩壊症候群治療を行った。大量補液、フェブキソスタット、ポリスチレン酸カルシウムゼリーを追加したところ、第8病日には尿酸、カリウム、LDHが減少し、不整脈や腎障害は生じなかった。

監修者コメント

腫瘍崩壊症候群は、化学療法に高い感受性を示す悪性腫瘍において、抗腫瘍薬の投与後に腫瘍細胞が急速に崩壊することで代謝異常を生じる疾患であり、致死的となることもある。本症例では、悪性軟部腫瘍に対してパゾパニブ(ヴォトリエント®)を投与したところ、腫瘍崩壊症候群を発症した。パゾパニブは、複数のチロシンキナーゼを阻害し、血管新生を抑制することで抗腫瘍効果を発揮する分子標的治療薬である。固形癌に対する分子標的治療薬の投与による腫瘍崩壊症候群は稀であるが、投与前の腫瘍崩壊症候群のリスク評価や開始後の尿酸、カリウム、LDHなどの臨床検査値のモニタリングを行うことが重要である。

著者(発表者)
竹本将士ほか
所属施設名
名古屋市立大学病院薬剤部ほか
表題(演題)
パゾパニブ投与によって腫瘍崩壊症候群をきたした悪性軟部腫瘍の一例
雑誌名(学会名)
医療薬学フォーラム2015 第23回クリニカルファーマシーシンポジウム講演要旨集 317 (2015)
第23回 クリニカルファーマシーシンポジウム (2015.7.4-7.5) 2015医療薬学フォーラム (2015.7.4-7.5)

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