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シメプレビル・ペグインターフェロン・リバビリンによる舞踏病様運動

2015年7月掲載

薬剤 シメプレビル化学療法剤
ペグインターフェロン生物学的製剤
リバビリン化学療法剤
副作用 舞踏病様運動
概要 71歳、女性。C型慢性肝炎に対してシメプレビル・ペグインターフェロン・リバビリン療法を開始した。治療開始4週後に、右上下肢の不随意運動が出現し、軽快しないため精査加療目的で当科入院となった。安静時に上肢優位に内旋・外旋を繰り返す舞踏病様運動が出現した。脳神経領域の異常所見や四肢の運動障害、感覚障害は認めず、四肢腱反射や病的反射も認めなかった。神経学的に舞踏病様運動と診断し、シメプレビル・ペグインターフェロン・リバビリン療法が原因と考えられた。シメプレビル・ペグインターフェロン・リバビリン療法を中止したところ、舞踏病様運動は徐々に改善を認め、1週間後には消失した。その後も不随意運動の再燃は認めていない。

監修者コメント

C型慢性肝炎に対して、セロタイプ1型の高ウイルス量症例においては、現在のガイドラインではシメプレビル・ペグインターフェロン・リバビリン療法が第一選択となっている。シメプレビルはHCVの複製に必須であるNS3/4Aプロテアーゼを阻害する抗ウイルス薬である。本症例では、これらの3剤併用療法を施行中に、舞踏病様運動を認めている。現在、C型慢性肝炎に対して、様々な新規抗ウイルス薬が開発され、インターフェロンフリー療法も導入されている。本報告はインターフェロンを含む治療のみならず、インターフェロンフリー療法においても舞踏病様運動を合併する可能性を示唆しており、特に高齢者に対しては注意が必要である。

著者(発表者)
木次健介ほか
所属施設名
浜松医療センター消化器内科ほか
表題(演題)
シメプレビル・ペグインターフェロン・リバビリン療法中に舞踏病様運動を認めたC型慢性肝炎の1例
雑誌名(学会名)
肝臓 56(3) 103-108 (2015.3)

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