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クラリスロマイシンによるてんかん発作

2015年7月掲載

薬剤 クラリスロマイシン抗生物質製剤
副作用 てんかん発作
概要 87歳、女性。近医において胃潰瘍と診断され、H.pylori除菌療法(クラリスロマイシン、アモキシシリン、ラベプラゾール)を開始されていた。投与2日後、家族の呼びかけに無反応で体動しないことに気づかれた。しばらくすると普段と同じ状態に戻ったが、救急外来を受診し、診察中にも数分間の同様の発作を繰り返したため緊急入院となった。入院後も発作が頻回に出現した。 H.pylori除菌療法の影響も疑われたため、クラリスロマイシン、アモキシシリンを中止し、ラベプラゾールを減量したところ、発作回数は速やかに減少した。その後、発作の再発はなく、第20病日に退院となった。

監修者コメント

クラリスロマイシン(クラリス®)はマクロライド系抗菌薬の中でも比較的副作用が少なく、肺炎や咽頭炎などに広く使用されている。本症例では87歳の女性に対して、クラリスロマイシン、アモキシシリン、ラベプラゾールの3剤併用によるH.pylori除菌療法を行ったところ、投与開始2日後にてんかん発作を発症した。これまでにもH.pylori除菌療法による神経毒性の報告はあるが、いずれもクラリスロマイシンによるものとされており、本症例もクラリスロマイシンによるてんかん発作が疑われている。クラリスロマイシンはcytochrome P450系のCYP3Aで代謝されるため、他の薬剤との相互作用を起こしやすい。高齢者では複数の薬剤を内服していることが多く、薬物代謝機能も低下しているため、クラリスロマイシンを投与する際には、てんかんを含めた神経症状に注意する必要がある。

著者(発表者)
白石恵子ほか
所属施設名
日本赤十字社長崎原爆病院内科
表題(演題)
Clarithromycinが原因と考えられたてんかん発作
雑誌名(学会名)
神経内科 82(4) 442-445 (2015.4)

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