肺炎球菌ワクチンによる血球貪食リンパ組織球症
2015年6月掲載
薬剤 | 肺炎球菌ワクチン生物学的製剤 |
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副作用 | 血球貪食リンパ組織球症 |
概要 | 75歳、男性。65歳時に潰瘍性大腸炎を発症し、プレドニゾロン、アザチオプリン、メサラジンの内服で寛解を維持していた。肺炎球菌ワクチンを接種した翌日から39℃の発熱が出現。抗生剤は無効であり、発熱が持続し、血小板減少、貧血を認め当院に転院となった。骨髄検査で血球貪食像を認め、フェリチン、sIL-2Rの上昇を認め、血球貪食リンパ組織球症(HLH)と診断した。プレドニゾロンの投与を開始したが、発熱が持続し、サイトメガロウイルス(CMV)IgM抗体が陽性であったため、ガンシクロビルを開始した。CMV感染症を疑う所見はみられなかった。ガンシクロビル開始後速やかに解熱し、血球減少は改善した。 |
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血球貪食リンパ組織球症(HLH)は発熱・汎血球減少・肝脾腫・播種性血管内凝固症候群を主要徴候とし、組織球の増殖と血球貪食像を病理学的特徴とする症候群である。二次性のHLHは、悪性腫瘍やウイルス感染などに合併して発症することが多く、EBウイルスによるものは重症例が多い。炎症性腸疾患活動期にCMVによるHLHを発症した報告や、炎症性腸疾患に対してアザチオプリンを投与した際にCMV関連HLHを合併した報告がある。本症例のように肺炎球菌ワクチン接種が契機になったCMV関連HLHは極めて稀であり、興味深い一例といえる。
- 著者(発表者)
- 高田寛之ほか
- 所属施設名
- 大分県立病院血液内科
- 表題(演題)
- 肺炎球菌ワクチン接種を契機に発症したサイトメガロウイルス関連血球貪食リンパ組織球症
- 雑誌名(学会名)
- 第5回 日本血液学会九州地方会 抄録集 13 (2015)
第5回 日本血液学会九州地方会 (2015.3.14)
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