ケタミンによるけいれん
2015年6月掲載
薬剤 | ケタミン中枢神経用薬 |
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副作用 | けいれん |
概要 | 8歳、男児。上腕骨顆上骨折と診断され当院を紹介された。徒手整復を行うためケタミンを静脈注射した。投与4分後に両側対称性の間代性けいれんが出現し、自発呼吸が保てなくなった。酸素飽和度の低下を認めたため、バッグバルブマスクによる用手換気を開始した。ミダゾラムを静脈注射したところ、2分後にけいれんは頓挫し、その後呼吸状態も安定した。けいれん頓挫後、徒手整復を行い処置を終了した。鎮静処置後、けいれんの原因となりえる明らかな以上は認めなかった。以後外来で経過観察中にけいれんの再発を認めていない。 |
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全身麻酔剤であるケタミンは呼吸・循環抑制が少ないことから救急室における処置のための鎮静・鎮痛に広く使用されている。本症例では、8歳の健康な男児にケタミンを静脈注射したところ、硬直間代性けいれんを認めた。てんかんを基礎疾患にもつ患者では、ケタミン投与によりけいれんが誘発されることは良く知られているが、本症例のように基礎疾患を有さない患者にけいれんを合併することは稀である。ケタミンを用いた鎮静処置時は、健康な患者においてもけいれんを発症するリスクがあることを認識する必要がある。
- 著者(発表者)
- 森崇晃ほか
- 所属施設名
- 東京都立小児総合医療センター救命集中治療部救命救急科
- 表題(演題)
- ケタミンの投与により誘発されたけいれんの1例
- 雑誌名(学会名)
- 日本小児救急医学会雑誌 14(1) 66-68 (2015.2)
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