せりみっく 今月の症例

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ノルアドレナリンによる心室頻拍

2015年5月掲載

薬剤 ノルアドレナリンホルモン剤(抗ホルモン剤を含む)
副作用 心室頻拍
概要 78歳、男性。パーキンソン病(PD)に対してレボドパ・カルビドパ水和物等による治療を行っていた。強い下腹部痛、発熱を主訴に緊急搬送された。偽性腸閉塞に伴う敗血症性ショックと診断し、経肛門ドレナージ、輸液、抗菌薬投与を行った。しかし、徐々に血圧が低下したためノルアドレナリン(NA)投与を開始した。直後から心室性期外収縮が頻発し、NA増量に伴い心室頻拍となり、さらに血圧が低下した。NAからバゾプレッシンに変更したところ、不整脈は著明に減少し、ショックから離脱できた。

監修者コメント

PDにおいては交感神経の除神経によって起こる交感神経作動薬に対する感受性の増加、すなわち除神経過敏が報告されている。本症例では、心臓交感神経節後線維が高度に障害され、除神経過敏となっていたところに、敗血症性ショックに対して高用量のNAを投与したことが心室頻拍の誘因になったと考えられる。除神経過敏を合併するPDでは、NAの使用に際して十分な注意を払い、アドレナリン受容体を介さないバゾプレッシンへの早期変更を考慮する必要がある。

著者(発表者)
宮本和幸ほか
所属施設名
東京労災病院救急科ほか
表題(演題)
除神経過敏へのノルアドレナリン投与で心室頻拍をきたした重症パーキンソン病の1例
雑誌名(学会名)
日本集中治療医学会雑誌 22(1) 38-41 (2015.1)
第41回 日本集中治療医学会学術集会 2014

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