せりみっく 今月の症例

ホーム > 新着文献  > ベタネコール塩化物によるコリン作動性クリーゼ

ベタネコール塩化物によるコリン作動性クリーゼ

2015年4月掲載

薬剤 ベタネコール塩化物末梢神経系用剤
副作用 コリン作動性クリーゼ
概要 64歳、男性。不安定狭心症に対して冠動脈形成術(PCI)を施行した。その後発症した神経因性膀胱に対してベタネコール塩化物の内服を開始後、病棟トイレで倒れているところを発見された。意識レベルはJCS100で、著明な発汗と唾液分泌過多を伴っていた。著明な縮瞳、徐脈、血圧低下を認め、頭部MRI検査中に心肺停止となった。直ちに蘇生術を施行した。硫酸アトロピンの投与に極めてよく反応し、脈拍と血圧の上昇を認めた。冠動脈イベントは否定的となり、身体所見、臨床経過からベタネコール塩化物によるコリン作動性クリーゼと考えた。全身状態は改善したが、高次脳機能障害が残った。リハビリにて独居可能レベルまで回復して独歩退院した。

監修者コメント

本症例では、神経因性膀胱に対して副交感神経亢進薬であるべタネコール塩化物(ベサコリン®)を投与したところ、コリン作動性クリーゼを発症した。添付文書にも重大な副作用としてコリン作動性クリーゼが注意喚起されている。べタネコール塩化物の内服中に発汗、唾液分泌過多、徐脈、血圧低下、縮瞳などの症状を認めた場合には、コリン作動性クリーゼの可能性を考え、直ちに適切な処置を行う必要がある。

著者(発表者)
松原顕しゅんほか
所属施設名
池上総合病院循環器内科
表題(演題)
常用量の塩化ベタネコールによるコリン作動性クリーゼの1例
雑誌名(学会名)
第612回 日本内科学会関東地方会 41(2015)
第612回 日本内科学会関東地方会 (2015.2.14)

新着文献 一覧

PAGETOP