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ベプリジル塩酸塩水和物によるtorsades de pointes

2015年1月掲載

薬剤 ベプリジル塩酸塩水和物循環器官用剤
副作用 torsades de pointes
概要 74歳、女性。自宅で就寝中、呼吸困難と胸部違和感が出現したため、救急車で当院搬送となった。既往歴として心房細動、高脂血症、高血圧があり、ベプリジル塩酸塩水和物(ベプリコール®)、ロスバスタチン、アムロジピンの内服歴があった。モニター心電図により心室頻拍およびQT延長が認められたため、torsades de pointes(TdP)と診断した。ICU入室直後に意識消失を来たしたが、胸骨圧迫によりTdPは治まり意識も回復した。その後も何度も同様の症状が繰り返された。イソプロテレノールを投与したところ、徐脈の改善とともにTdPは認められなくなり、入室7日目にICUを退室した。

監修者コメント

本症例では、塩酸ベプリジル(ベプリコール®)の内服により、多形性心室頻拍およびQT延長を認め、TdPと診断されている。腎機能や心機能は正常で、特に相互作用を示す併用薬もなく、外来にて発症2日前にもQT時間の延長がないことを確認していたが、TdP発症時の塩酸ベプリジルの血中濃度は著明に上昇していた。TdPを回避するためには、本症例のような心電図のモニタリングだけでは不十分な可能性があり、塩酸ベプリジルの投与開始時と増量後には、therapeutic drug monitoring (TDM)などを考慮する必要がある。

著者(発表者)
園部奨太ほか
所属施設名
八尾市立病院麻酔科ほか
表題(演題)
イソプロテレノールが有効であった塩酸ベプリジルに伴うtorsades de pointesの1例
雑誌名(学会名)
日本集中治療医学会雑誌 21(5) 521-522 (2014.9)
第38回 日本集中治療医学会学術集会 (2011)

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