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タクロリムスによる血栓性血小板減少性紫斑病

2015年1月掲載

薬剤 タクロリムスその他の代謝性医薬品
副作用 血栓性血小板減少性紫斑病
概要 24歳、女性。レイノー現象が出現した翌年より発熱、頭痛、下痢が出現した。精査にて抗核抗体陽性、白血球減少、腎障害、口腔内潰瘍、蝶型紅斑、関節痛を認めたことから、全身性エリテマトーデスと診断された。ステロイドとタクロリムスによる治療が開始されたが、腎障害が進行し、肺胞出血や胸膜炎や中枢神経ループスを併発した。当科紹介入院となり、治療強化によりSLEの活動性は改善していったが、破砕赤血球の出現やハプトグロブリンの異常低値を伴ったことから血栓性血小板減少性紫斑病を併発したと考えられた。経過からタクロリムスが原因と考え、薬剤中止及び血漿交換療法を施行し、良好な経過を辿った。

監修者コメント

免疫抑制剤であるタクロリムスは、臓器移植における拒絶反応の抑制の他、自己免疫性疾患などの治療に用いられている。本症例では、全身性エリテマトーデスに対して、タクロリムスの投与を行ったところ、血栓性血小板減少性紫斑病を発症した。タクロリムスを使用する際には、稀ではあるが、血栓性血小板減少性紫斑病を発症する可能性を念頭に置き、慎重に経過観察を行う必要がある。

著者(発表者)
尾崎拓郎ほか
所属施設名
有澤総合病院ほか
表題(演題)
全身性エリテマトーデス治療中に薬剤性血栓性血小板減少性紫斑病を合併し、血漿交換療法が有効であった一例
雑誌名(学会名)
日本アフェレシス学会雑誌 33(抄録) 175 (2014)
第35回 日本アフェレシス学会学術大会 (2014.9.26-28)

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