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エタネルセプトによる乾癬様皮疹

2015年1月掲載

薬剤 エタネルセプトその他の代謝性医薬品
副作用 乾癬様皮疹
概要 20歳、女性。14歳時に右肘関節炎を認め、当科受診によりリウマチ因子陽性多関節型若年性特発性関節炎(JIA)と診断した。メトトレキサート治療には抵抗性で、16歳時よりエタネルセプトを併用し寛解が得られた。19歳時に両足底に落屑を伴い、掻痒感のある皮疹が出現した。ステロイド外用剤、抗生剤の内服、外用治療が行われたが、全く改善なく、徐々に乾癬様となり、乾癬様皮疹と診断した。エタネルセプトをトシリズマブへ変更したところ、約5ヵ月の経過で皮疹の改善を認めた。

監修者コメント

関節リウマチやJIAなどの難治例に対して、TNF阻害薬は大きな効果を示し、近年その使用頻度が高くなっている。TNF阻害薬は乾癬の治療にも使用されるが、TNF阻害薬による副作用として乾癬様皮疹を呈する症例が報告されている。本症例ではリウマチ因子陽性多関節型JIAに対してTNF阻害薬であるエタネルセプトによる治療を開始したところ、乾癬様皮疹を発症した。 IL-6阻害薬であるトシリズマブへ変更することで、皮疹の改善を認めている。TNF阻害薬による治療中に、稀ではあるが、乾癬様皮疹が出現することがあり、注意が必要である。その際にはTNF阻害薬以外の生物学的製剤への変更を検討する必要がある。

著者(発表者)
石川さやかほか 
所属施設名
金沢大学医薬保健研究域医学系小児科ほか
表題(演題)
TNF阻害薬治療中に乾癬様皮疹を呈した若年性特発性関節炎の一例
雑誌名(学会名)
第24回 日本小児リウマチ学会総会・学術集会 プログラム・抄録集 107 (2014)
第24回 日本小児リウマチ学会総会・学術集会 (2014.10.3-5)

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