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BCGによる馬蹄腎結核

2013年1月掲載

薬剤 乾燥BCG膀胱内用(コンノート株)生物学的製剤
BCG生物学的製剤
副作用 馬蹄腎結核
概要 63歳、男性。右尿管口部膀胱癌(high grade pT1)と診断され、非浸潤癌であることを確認してからBCG膀胱内注入療法を計8回施行した。術前CTで前立腺肥大症および馬蹄腎が確認されていた。BCG治療後にCTにて馬蹄腎峡部の腫瘍性病変および傍大動脈リンパ節腫大を確認した。悪性腫瘍を否定できなかったため腫瘍摘除を施行、病理結果で馬蹄腎峡部に類上皮肉芽腫が多数認められ腎結核と判定した。BCG膀胱内注入療法後の腎結核は稀であり、原因としてVURによる右上部尿路への直接播種の他に、馬蹄腎における尿流停滞による曝露時間延長や、前立腺肥大症における膀胱出口部閉塞による排尿時膀胱内圧上昇と、付加要因による可能性が考えられた。

監修者コメント

本剤の重大な副作用として、播種性、局所性または異所性のBCG感染が報告されている。この報告では、BCG膀胱内注入療法による腎結核は非常に稀であるとして、BCG注入療法後に病理組織学的に腎結核と診断された報告例9例と自験例を加えた10例について検討し、発症機序、症状、診断、治療等について述べられている。

著者(発表者)
遠藤剛ほか
所属施設名
筑波メディカルセンター病院泌尿器科ほか
表題(演題)
BCG膀胱内注入療法後に生じた馬蹄腎結核の1例
雑誌名(学会名)
日本泌尿器科学会雑誌 103(3) 562-565 (2012.5)
第88回 日本泌尿器科学会茨城地方会

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