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イオヘキソールによる急性汎発性発疹性膿疱症

2012年11月掲載

薬剤 イオヘキソール診断用薬(体外診断用医薬品を除く)
副作用 急性汎発性発疹性膿疱症
概要 76歳、男性、患者は膵嚢胞の経過観察のためイオヘキソールを用いた造影CT検査を受け、その6時間後から体幹のそう痒感が、10時間後より全身の紅斑、38℃台の発熱が出現し、翌日、当科を受診した。造影CT検査を受ける1週間前から当日まで感冒症状のためPL配合顆粒、葛根湯を服用していた。
初診時、背部、側腹部、腋窩の紅斑上に毛包に一致しない直径1mm程度の小膿疱が多数出現した。WBC10,100/μL、CRP13.9mg/dL、ESR28mm/h、肝腎機能に異常はなく、ASO上昇もない。抗核抗体40倍未満、抗SS-A抗体(ELISA)60.9(index)と陽性、抗SS-B抗体は陰性であった。背部膿疱の細菌、真菌培養は陰性であった。補液とオロパタジン塩酸塩の内服、ジフルプレドナート軟膏の外用で治療を開始したところ、5日後に膿疱が消褪し、全身の紅斑も薄い鱗屑を残して徐々に改善した。貼付試験の結果は、イオヘキソールのスクラッチ貼付試験で48時間後陽性と判断し、 PL配合顆粒、葛根湯、および交差反応を調べるためのイオパミドール、イオメプロールやヨードアレルギーを否定するためのポビドンヨードは陰性であった。薬剤誘発性リンパ球刺激試験でイオヘキソール陽性、PL配合顆粒、葛根湯は陰性であった。以上の結果から、イオヘキソールによる急性汎発性発疹性膿疱症と診断した。

監修者コメント

著者の考察によれば、急性汎発性発疹性膿疱症(acute generalized exanthematous pustulosis: AGEP)の原因の90%が薬剤で、抗生物質、抗真菌剤、抗凝固剤、消炎鎮痛薬、コルチコステロイドによるものが知られる。非イオン性ヨード造影剤によるものは稀であるが国内外での報告があるので認識する必要がある。

著者(発表者)
喜多川千恵ほか
所属施設名
高知大学医学部皮膚科学
表題(演題)
非イオン性ヨード造影剤イオヘキソールによる急性汎発性発疹性膿疱症の1例
雑誌名(学会名)
皮膚の科学 11(2) 165-169 (2012.4)
第39回 日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会総会学術大会

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