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ペラミビルによる重症筋無力症クリーゼ

2014年12月掲載

薬剤 ペラミビル化学療法剤
副作用 重症筋無力症クリーゼ
概要 73歳、女性。胸腺腫合併重症筋無力症(MG)と診断され、胸腺腫摘除術を施行後、プレドニゾロン(PSL)、タクロリムスを開始した。発熱、咳嗽を認め、インフルエンザA型陽性のため、ペラミビル点滴を開始した。点滴中よりSpO2低下、点滴終了後意識障害が出現し、当院緊急搬送。到着時JCS 30、体温37.5℃、脈拍150bpm、血圧95/78mmHg、SpO280%であった。一時心肺停止状態になるも、挿管・心肺蘇生にて自己脈回復した。肺炎球菌肺炎の合併を確認し、抗生剤を開始した。意識回復するも自発呼吸は消失しており、入院時の抗AChR抗体は29.4pmol/mLだった。呼吸筋麻痺が遷延するため、MGクリーゼと判断し、PSL増量、単純血漿交換、免疫吸着療法、大量免疫グロブリン療法を施行した。治療後自発呼吸を認め、第9病日に抜管、第44病日に退院した。

監修者コメント

新しい抗インフルエンザウイルス薬であるペラミビル(ラピアクタ®)は従来の抗インフルエンザウイルス薬とは異なり、点滴静注により投与されるノイラミニダーゼ阻害薬である。本症例では、重症筋無力症にて加療中に発熱およびインフルエンザA型陽性を認めたため、ペラミビルの点滴を開始したところ、重症筋無力症クリーゼを発症した。ペラミビルの点滴中に呼吸困難になったことなどから、ペラミビルにより誘発されたクリーゼが疑われた。ペラミビルを含むノイラミニダーゼ阻害薬が神経筋接合部に影響したとの報告はこれまでにないが、ノイラミニダーゼ阻害薬によりクリーゼが誘発された可能性を示唆する一例といえる。

著者(発表者)
林幸司ほか
所属施設名
金沢大学附属病院臨床研修センターほか
表題(演題)
ペラミビルが誘因と思われた重症筋無力症クリーゼの1例
雑誌名(学会名)
Neuroinfection 19(2) 176 (2014.8)
第19回 日本神経感染症学会総会学術集会 (2014.9.4-6)

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