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ミノサイクリンによる黒色甲状腺

2014年10月掲載

薬剤 ミノサイクリン抗生物質製剤
副作用 黒色甲状腺
概要 60歳、女性。当科初診2年前に右下顎骨骨髄炎の診断を受け、ミノサイクリンを服用し、改善したため中止を指示したが、本人の希望が強く服用を継続していた。甲状腺右葉に腫瘤を自覚し、当科紹介受診となった。細胞診で異型細胞を認め、サイログロブリン値が高値であったため、甲状腺癌を否定できず手術を行った。甲状腺右葉に弾性軟の腫瘤を認め、黒色変性していた。摘出した甲状腺の腫瘤部は充実性、白色であったが、正常部位は黒色であった。病理組織学的検査所見で濾胞型乳頭癌と診断された。腺内転移を認めたため、残存甲状腺全摘術を施行した。左葉の腫瘤は悪性所見を認めなかった。

監修者コメント

ミノサイクリンの副作用としては、小児における歯牙の色素沈着などがよく知られている。本文献では、ミノサイクリンの長期服用による黒色甲状腺に乳頭癌を合併した1例を紹介している。ミノサイクリンによる甲状腺の色素沈着は稀であり、黒色甲状腺と甲状腺癌との相関に関しても、肯定的な報告と否定的な報告がある。ミノサイクリンの長期服用による副作用に関しては、今後も症例数を積み重ね、さらなる検討が必要である。

著者(発表者)
大村咲ほか
所属施設名
京都大学大学院医学研究科耳鼻咽喉科・頭頸部外科ほか
表題(演題)
ミノサイクリン長期服用による黒色甲状腺に乳頭癌を合併した一例
雑誌名(学会名)
耳鼻咽喉科臨床 107(8) 639-643 (2014.8)
第74回 耳鼻咽喉科臨床学会 (2012.7.5-6)

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