シタグリプチンによる薬剤性肺障害
2014年10月掲載
薬剤 | シタグリプチンその他の代謝性医薬品 |
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副作用 | 薬剤性肺障害 |
概要 | 63歳、女性。2型糖尿病、高血圧に対してボグリボース、カンデサルタン/アムロジピン、インスリングラルギンにて加療、16日前からシタグリプチンを処方されていた。シタグリプチン服用開始4日後より咳嗽が出現し、服用16日後の受診時には低酸素血症と胸部CTにて両肺びまん性にスリガラス影を認めた。気管支鏡検査を含む各種検査で感染症は否定的であり、薬剤リンパ球刺激試験でも強陽性を示したシタグリプチンによる肺障害と考えられた。人工呼吸管理を要す呼吸不全に陥ったが、ステロイドパルス療法で速やかに改善した。 |
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シタグリプチン(ジャヌビア®)は国内最初のdipeptidyl peptidase-4(DPP-4)阻害薬であり、2型糖尿病の治療薬として広く使用されている。本症例では、シタグリプチンの服用開始後に咳嗽とともに胸部CTにて両肺びまん性スリガラス影を認め、間質性肺炎と診断された。薬剤リンパ球刺激試験の結果からもシタグリプチンによる薬剤性肺障害と考えられた。現在、DPP-4阻害薬は糖尿病治療に繁用されており、頻度は少ないものの、副作用として間質性肺炎を発症する可能性があることに注意する必要がある。
- 著者(発表者)
- 花香哲也ほか
- 所属施設名
- 製鉄記念八幡病院呼吸器内科ほか
- 表題(演題)
- シタグリプチンによる薬剤性肺障害と考えられた1例
- 雑誌名(学会名)
- 日本呼吸器学会誌 3(4) 594-598 (2014.7)
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