シスプラチンによる洞不全症候群
2014年10月掲載
薬剤 | シスプラチン腫瘍用薬 |
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副作用 | 洞不全症候群 |
概要 | 37歳、女性。子宮体癌ⅠA期相当、類内膜腺癌Grade1の術前診断にて腹式単純子宮全摘術、両側付属器摘出術を施行した。術後病理組織診断が類内膜腺癌StageⅡ、Grade2であったため、術後補助療法としてAP療法(アドリアマイシン、シスプラチン)を開始した。化学療法開始3日目に心拍数低下を認め、心拍数30bpm台の洞性徐脈が出現し、洞不全症候群の診断で一時ペースメーカーの挿入管理を要した。薬剤の影響を疑い、2クール目はシスプラチン単剤投与としたが、1クール目と同様の心拍数低下を認めた。慎重経過観察で自然軽快したが、3クール目も同様の症状を呈したため、化学療法は3クールで中止した。 |
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本症例では、子宮体癌の術後化学療法にてシスプラチンを投与したところ、洞不全症候群sick sinus syndrome (SSS)をきたし、心拍数30bpmの高度徐脈を呈した。SSSは、洞結節の細胞や心房筋の障害によって起こる徐脈性不整脈であり、意識障害や失神の原因となる。頻度は少ないが、シスプラチンによる化学療法を契機に徐脈性不整脈が起こりうることに注意し、徐脈が認められた場合には適切な対応を行う必要がある。
- 著者(発表者)
- 齋藤桃子ほか
- 所属施設名
- 日本医科大学多摩永山病院女性診療科・産科
- 表題(演題)
- 子宮体癌の術後補助化学療法中に洞不全症候群をきたした1例
- 雑誌名(学会名)
- 東京産科婦人科学会会誌 63(2) 272-276 (2014.4)
第368回 東京産科婦人科学会例会
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