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補中益気湯による肝障害

2014年9月掲載

薬剤 補中益気湯漢方製剤
副作用 肝障害
概要 57歳、男性。高血圧症に対してオルメサルタン、胃炎に対してファモチジン、クエン酸モサプリドを内服していた。咳嗽、発熱の感冒様症状が出現、全身倦怠感を認めたため、補中益気湯を1日内服したところ、皮膚掻痒感、黄疸が出現し、当科紹介入院となった。プレドニゾロン、ウルソデオキシコール酸投与、ステロイドパルス療法を行ったが、T-Bil上昇、PT活性低下を認め血漿交換を施行した。肝予備能は一時改善を認めたが、合併したニューモシスチス肺炎の治療薬により肝酵素は再上昇し、最終的な肝酵素の改善が認められたのは入院後130日であった。

監修者コメント

補中益気湯は体力や気力の低下など全身機能の低下した状態を改善させる効果があるとされており、一般に広く使用されている。本症例では補中益気湯の内服による薬物性肝障害が疑われた。漢方薬はその成分の大部分が自然界にある生薬であるため、比較的安易に使用されることが多いが、その使用頻度の増加に伴い、肝障害の報告も増加している。本薬剤を内服する際には、重篤な肝障害が出現する可能性も考慮し、定期的な肝機能検査が必要である。

著者(発表者)
根岸良充ほか
所属施設名
板橋中央総合病院消化器内科ほか
表題(演題)
補中益気湯による薬物性肝障害が疑われた1例
雑誌名(学会名)
日本消化器病学会雑誌 111(6) 1149-1156 (2014.6)

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