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チアミラールによる白血球減少症

2014年7月掲載

薬剤 チアミラール中枢神経用薬
副作用 白血球減少症
概要 65歳、男性。遅発性ジストニアの治療中に誤嚥性肺炎を発症しICU入室となった。肺炎は軽快したが、筋強直、不随意運動発作が頻発したため加療を行った。しかし、発作を制御できず、40℃以上の発熱と大量の発汗を伴う重積状態が続いた。第8病日からデクスメデトミジンとチアミラールの持続投与を開始すると、第13病日には発作が消失し、人工呼吸器を離脱した。第17病日に再び重積状態が出現したため、チアミラールによる鎮静を11日間行った。この際、白血球数が9,000/µLから4,700/µLに低下した。第32病日に再々度チアミラールを投与すると、白血球数は4,600/µLから翌日は2,700/µL、翌々日に400/µLまで低下したため、チアミラールを中止した。9日間のG-CSF投与で白血球数は4,300/µLまで回復した。その後、第57病日にICUを退出し、第87病日に療養型病院へ転院した。

監修者コメント

チアミラール、チオペンタールなどのバルビツール酸系薬は、重症脳損傷患者の頭蓋内圧亢進やてんかん重積状態などに対して使用されている。本症例では遅発性ジストニアの全身性不随意運動に対するコントロール目的でチアミラールが投与されたが、投与のタイミングに一致して、著明な白血球減少が認められた。バルビツール酸系薬には、低血圧や呼吸抑制、肝機能障害などの副作用があるが、白血球減少は稀である。バルビツール酸系薬は副作用が多い薬剤であるため、適応を慎重に判断し、薬物動態と副作用を十分に考慮した使用が必要である。

著者(発表者)
田根なつ紀ほか
所属施設名
徳島大学病院卒後臨床研修センターほか
表題(演題)
チアミラールによる薬剤性白血球減少症が疑われた遅発性ジストニアの一症例
雑誌名(学会名)
日本集中治療医学会雑誌 21(2) 181-182 (2014.3)

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