トラネキサム酸、アンブロキソールによるスティーブンス・ジョンソン症候群
2014年6月掲載
薬剤 | トラネキサム酸血液・体液用薬アレルギー用薬 アンブロキソール呼吸器官用薬 |
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副作用 | スティーブンス・ジョンソン症候群 |
概要 | 41歳、男性。発熱、倦怠感、口内炎が出現し、市販の感冒薬を服用したが改善しないため、夜間救急診療所を受診し、アセトアミノフェン、アンブロキソール塩酸塩、トラネキサム酸を処方された。口内炎の急激な悪化、摂食障害、四肢の皮疹を自覚し、当科を受診した。皮膚科で臨床経過および臨床所見よりスティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)と診断され、プレドニゾロンの経口投与が開始された。眼病変は指摘されず、入院29日目に軽快退院となった。薬剤誘発性リンパ球刺激試験を施行したところ、アンブロキソール塩酸塩、トラネキサム酸に陽性反応を示した。アンブロキソール塩酸塩、トラネキサム酸によるSJSと診断した。退院1ヵ月後発熱などの感冒様症状が発症し、初診時と同様に口唇、舌、口蓋粘膜にびらんおよび水疱が出現し、腹部に皮疹がみられた。血清学的検査ではHSV IgG抗体価が56.5と高値であった。SJSの再発と診断し緊急入院となった。皮膚科でプレドニゾロン、眼科で眼瞼充血を指摘され点眼薬による加療、口腔外科では口腔内ケアが行われた。再入院6日目で症状の軽減を認め、再入院32日目に軽快退院した。 |
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スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)は、発熱、皮膚粘膜移行部の粘膜疹、皮膚に多発する多形紅斑様発疹などを認め、予後不良例では眼や呼吸器官等に重篤な障害を残すことがある。また、中毒性表皮壊死症に移行した場合では、死亡率が5-15%とされる重篤な疾患である。SJSの原因としては、抗菌薬、非ステロイド性抗炎症薬、抗てんかん薬などの薬剤およびウイルス感染などの感染症が報告されている。本症例ではHSV感染によると考えられる口内炎が先行し、その後の歯科での治療後にSJSを発症した。DLSTの結果から、アンブロキソール塩酸塩(ムコサール®)およびトラネキサム酸(トランサミン®)が原因薬剤と考えられた。一般に歯科では重症あるいは難治性の口内炎患者に遭遇する機会が多く、SJSの可能性も留意して診察にあたる必要がある。
- 著者(発表者)
- 中島世市郎ほか
- 所属施設名
- 大阪医科大学感覚器機能形態医学講座口腔外科学教室
- 表題(演題)
- 口腔に初発症状を呈し再発を生じたスティーブンス・ジョンソン症候群の1例
- 雑誌名(学会名)
- 日本口腔外科学会雑誌 60(3) 137-141 (2014.3)
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