クリゾチニブによる食道炎
2014年6月掲載
薬剤 | クリゾチニブ腫瘍用薬 |
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副作用 | 食道炎 |
概要 | 46歳、女性。肺腺癌の頚部・腹部リンパ節、肺、肝、骨転移再発に対して、ALK融合遺伝子陽性であったため、クリゾチニブの投与を開始した。治療8日目に胸部つかえ感と嘔気、10日目に嚥下痛と胸骨後部痛が出現した。治療15日目に上部消化管内視鏡検査にてびらん、白苔を認め、食道狭窄を呈していた。クリゾチニブによる食道炎を疑い、クリゾチニブを一時休薬した。食道炎改善後、治療36日目にクリゾチニブを再開したが、49日目に食道炎が再発し、クリゾチニブの投与を中止した。治療57日目に食道炎は改善した。 |
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近年、肺癌における遺伝子異常として、EML4-ALK融合遺伝子が発見された。チロシンキナーゼ阻害剤であるクリゾチニブ(ザーコリ®)はALK活性を阻害し、ALK融合遺伝子陽性の肺癌において有効であることが報告されている。本症例ではEML4-ALK融合遺伝子陽性の肺癌に対し、クリゾチニブを投与したところ、食道炎を発症し、投与を中止せざるを得なかった。クリゾチニブ使用中に嚥下痛や胸骨後部痛などの食道炎を疑う症状が出現した場合は、食道炎の合併を念頭におく必要がある。
- 著者(発表者)
- 山添雅己ほか
- 所属施設名
- 市立函館病院呼吸器内科ほか
- 表題(演題)
- crizotinibによる食道炎を発症したEML4-ALK陽性肺腺癌の1例
- 雑誌名(学会名)
- 肺癌 53(7) 840-845 (2013)
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