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抱水クロラールのゼラチンによるアレルギー

2014年5月掲載

薬剤 ゼラチンその他
抱水クロラール中枢神経用薬
副作用 アレルギー
概要 2歳、女児。複雑心奇形のために複数回の手術歴とてんかんの既往があり、検査の際の鎮静のために抱水クロラールシロップ製剤、坐薬ともに使用歴があった。脳波検査のために抱水クロラールシロップを内服後、約1時間半経過して覚醒傾向がみられたため、抱水クロラール坐薬を投与された。その1時間半後の検査終了時に口唇、顔面の腫脹と全身の紅斑が出現し、少量の血便の排泄を認めた。抱水クロラール坐薬中のゼラチンが原因として疑われたが、特異的IgE(CAP-RAST)は陰性であった。抱水クロラール坐薬の剤皮の溶解液でプリックテストを行ったところ、8×8 mmの膨疹を認め陽性であったため、ゼラチンアレルギーと診断した。

監修者コメント

抱水クロラール坐薬(エスクレ®坐薬)は理学検査時における鎮静・催眠などに用いられており、成分にゼラチンを含有している。本症例では、2歳女児に対して脳波検査のために抱水クロラール坐薬を投与したところ、顔面の腫脹や全身の紅斑などのアレルギー症状を認めた。各種成分でプリックテストを行ったところ、ゼラチンのみが陽性となり、ゼラチンアレルギーと診断された。ゼラチン含有坐薬は頻用されている薬剤であり、投与時にはゼラチンによるアレルギーに対する注意が必要である。

著者(発表者)
古川真弓ほか
所属施設名
東京都立小児総合医療センターアレルギー科
表題(演題)
抱水クロラール坐薬のゼラチンに対するアレルギーの1例
雑誌名(学会名)
日本小児科学会雑誌 118(2) 306 (2014.2)
第117回 日本小児科学会学術集会 (2014.4.11-13)

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