ブシラミンによるインスリン自己免疫症候群
2014年5月掲載
薬剤 | ブシラミンアレルギー用薬 |
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副作用 | インスリン自己免疫症候群 |
概要 | 90歳、女性。関節リウマチの診断でブシラミンを処方されていた。過去に耐糖能異常の指摘なし、インスリン投与歴なし。発疹が出現し、近医を受診したところ、PPG362mg/dL、HbAlc8.0%であったため、精査加療目的で当科を受診した。 PPG123mg/dL、HbAlc7.8%、IRI97.0µU/mL、血中CPR7.5ng/mL、インスリン抗体60.1%、インスリン濃度>5000nU/mLであった。低血糖症状は認めないが、インスリン抗体のSchachard解析の結果、k1=0.0328×108M-1、b1=12.5×10-8Mであり、インスリン自己免疫症候群と診断した。ブシラミン中止後、抗体価が漸減しており、ブシラミンが誘因薬剤と思われた。 |
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ブシラミン(リマチル®)は関節リウマチの治療薬として広く使用されている。本症例では、関節リウマチに対してブシラミンを投与したところ、低血糖症状は認めないものの、インスリン抗体価やインスリン濃度の増加を認め、インスリン自己免疫症候群(IAS)と診断された。IASは他の自己免疫疾患に併発する他、SH基含有薬剤の使用が発症に関与していると言われている。ブシラミンによるIASの報告は少ないが、関節リウマチ治療での使用頻度が高い薬剤であり、使用時には注意が必要である。
- 著者(発表者)
- 村尾和良ほか
- 所属施設名
- 鳥取県立中央病院糖尿病・内分泌・代謝内科ほか
- 表題(演題)
- ブシラミン投与により生じたインスリン自己免疫症候群(IAS)の一例
- 雑誌名(学会名)
- 日本糖尿病学会中国四国地方会 第51回 総会 抄録集 70 (2013)
第51回 日本糖尿病学会中国四国地方会総会 (2013.11.15-16)
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