せりみっく 今月の症例

ホーム > 新着文献  > ファルモルビシン、リピオドール、ジェルフォームを使用した肝動脈塞栓術による壊疽性胆嚢炎

ファルモルビシン、リピオドール、ジェルフォームを使用した肝動脈塞栓術による壊疽性胆嚢炎

2014年5月掲載

薬剤 ファルモルビシン腫瘍用薬
リピオドール診断用薬(体外診断用医薬品を除く)
ジェルフォーム血液・体液用薬
副作用 壊疽性胆嚢炎
概要 74歳、女性。肝細胞癌に対して経カテーテル動脈化学塞栓術(TACE)を選択し、ファルモルビシン、リピオドール、ジェルフォームにて塞栓した。治療後に38℃台の発熱、炎症反応高値が遷延したため、TACE後9日目に腹部dynamic CTを施行した。胆嚢全体にわたり造影不良および壁内気腫を認め、胆嚢周囲および肝下面に広範な液体貯留を認めた。同日PTGBDによる加療を行ったが臨床症状は改善せず、TACE後13日目に開腹胆嚢摘出術を施行した。胆嚢のほぼ全域にわたり全層性の壊死所見を認めた。

監修者コメント

近年、肝細胞癌の治療は、ラジオ波焼灼術などによる局所療法が中心となっているが、腫瘍の大きさが3cmを超えたり、4個以上の腫瘍がある場合などには、肝動脈化学塞栓術(TACE)が選択される。本症例では、肝S7/8領域の5.5cm大の肝細胞癌に対してTACEを施行したところ、壊疽性胆嚢炎を合併して開腹胆嚢摘出となった。原因としては、TACEに伴う胆嚢の虚血などが考えられる。TACE施行後に腹痛や発熱、炎症反応高値の遷延などが認められる場合は、本合併症の可能性も念頭に置く必要がある。

著者(発表者)
藤崎洋人ほか
所属施設名
東京歯科大学市川総合病院外科
表題(演題)
肝細胞癌に対する肝動脈塞栓術後に、壊疽性胆嚢炎を合併し胆嚢摘出術を要した一例
雑誌名(学会名)
日本腹部救急医学会雑誌 34(2) 518 (2014.2)
第50回 日本腹部救急医学会総会 (2014.3.6-7)

新着文献 一覧

PAGETOP