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チアマゾールによる膵炎

2024年4月掲載

薬剤 チアマゾールホルモン剤(抗ホルモン剤を含む)
副作用 膵炎
概要 81歳、女性。74歳時に甲状腺嚢胞性腫瘍を指摘されていた。入院5ヵ月前に頻脈・手指振戦、血清TSH0.01μIU/mL未満・FT3≧20.00pg/mL・FT4≧5.00ng/dL、TRAb4.3IU/L・TSAb183%、甲状腺Tc摂取率シンチグラフィで甲状腺峡部のhot spotを認め、バセドウ病に自律性機能性甲状腺結節の合併が疑われた。ヨウ化カリウム50mg内服で機能正常化せず入院3週間前よりチアマゾール(MMI)15mgを併用開始した。入院10日前より38℃の発熱、腹痛はないが血清CRP10.37mg/dL・血清リパーゼ1351U/L、造影CTで膵尾部腫大を認め薬剤性膵炎を疑い入院となった。翌日MMIを中止して以降は解熱し入院16日後に血清リパーゼ253U/Lと改善した。MMIの再開後に再度発熱および血清リパーゼ上昇を認め、MMIによる薬剤性膵炎の確定診断に至った。

監修者コメント

抗甲状腺剤であるMMIは甲状腺機能亢進症に対する治療薬として用いられている。本症例はMMIの投与により薬剤性膵炎を発症した1例である。稀な有害事象であるが、MMIの投与中に発熱や腹痛、膵酵素の上昇などを認めた際には、薬剤性膵炎も念頭におき、適切な診断・治療を行うことが重要である。

著者(発表者)
竹村浩至ほか
所属施設名
総合病院国保旭中央病院ほか
表題(演題)
チアマゾール投与により薬剤性膵炎を生じた1例
雑誌名(学会名)
日本内分泌学会雑誌 99(2) 600 (2023)
第33回 臨床内分泌代謝Update(2023.11.3-4)

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