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タルクによる肺胞出血

2024年3月掲載

薬剤 タルク調剤用薬
副作用 肺胞出血
概要 59歳、男性。胸腺癌に対して化学療法を施行中、左大量胸水に対して胸腔ドレナージ後にタルクでの胸膜癒着を行った。経過中に左肺にcrazy-paving様のすりガラス影が出現し、左肺に限局して急速に拡大した。画像所見や血清学的所見からは癌性リンパ管症や日和見感染症、ARDS、うっ血は否定的であり、薬剤性肺炎を疑った。気管支肺胞洗浄液は肉眼的血性で異形細胞は確認されず、検査後より血痰が持続したことから肺胞出血と判断した。PSL 60mgでの治療を開始したところ陰影は速やかに消退し、漸減しながら化学療法を再開したが再燃はなかった。片側性の分布と化学療法での再燃がなかったことから、タルクによる肺胞出血が考えられた。

監修者コメント

胸膜癒着術のために投与されたタルクにより肺胞出血をきたした1例である。タルクは安価で効果的な胸膜癒着術の薬剤として広く用いられているが、肺胞出血の報告は稀であるため、貴重な症例といえる。本剤の投与後に血痰などの症状が認められた場合には、肺胞出血も念頭におき、適切な処置を行うことが重要である。

著者(発表者)
中川栄実子ほか
所属施設名
磐田市立総合病院呼吸器内科ほか
表題(演題)
タルクによる肺胞出血の一例
雑誌名(学会名)
第142回日本結核・非結核性抗酸菌症学会東海支部学会/第124回日本呼吸器学会東海地方会/第27回日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会中部支部会(プログラム・抄録集) 40 (2023)
第142回 日本結核・非結核性抗酸菌症学会東海支部学会 第124回 日本呼吸器学会東海地方会 第27回 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会中部支部会(2023.11.11-12)

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