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23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチンによる皮下脂肪織炎

2024年2月掲載

薬剤 23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン生物学的製剤
副作用 皮下脂肪織炎
概要 75歳、女性。肺非結核性抗酸菌症(M. intracellulare)と気管支拡張症に対し、エリスロマイシンの長期維持療法を行っていた。アレルギー歴はなく、ワクチン歴は23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン(以下、PPSV23)1回(70歳時)、COVID-19ワクチン計5回、他定期接種ワクチンは全て行っていた。2回目のPPSV23を左上腕に接種した2日後に発熱、悪寒、接種部位の腫脹と疼痛が出現したため救急搬送された。体温38.4℃、接種部位に皮下脂肪織炎を呈しており、セフトリアキソンと外用ステロイドで加療を開始した。入院時CRPは陰性であったが、第3病日に最大7.7 mg/dLまで上昇した。ワクチン接種に続発した蜂窩織炎様反応と診断した。症状は軽快し第6病日に退院した。PPSV23に対するDLSTではS.I値2.2と陽性であった。

監修者コメント

PPSV23は肺炎球菌感染症の予防に用いられているワクチンである。本文献では、PPSV23接種後に皮下脂肪織炎を発症した稀な1例を報告している。本薬剤の添付文書にも重大な副作用として、蜂巣炎・蜂巣炎様反応が記載されている。PPSV23は高齢者を中心に広く接種されているワクチンであり、接種後の注射部位に腫脹や疼痛などを認めた場合には、本有害事象も考慮し、適切な処置を行うことが重要である。

著者(発表者)
髙橋秀徳ほか
所属施設名
東京品川病院感染管理部ほか
表題(演題)
23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン接種後に皮下脂肪織炎を発症した1例
雑誌名(学会名)
第72回 日本感染症学会東日本地方会学術集会/第70回日本化学療法学会東日本支部総会合同学会プログラム・抄録集 171 (2023)
第72回 日本感染症学会東日本地方会学術集会 第70回 日本化学療法学会東日本支部総会(2023.10.25-27)

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