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ネモリズマブによる水疱性類天疱瘡

2024年1月掲載

薬剤 ネモリズマブアレルギー用薬
副作用 水疱性類天疱瘡
概要 60歳代、男性。以前より痒疹型のアトピー性皮膚炎として近医でステロイド外用治療されるも難治で当院紹介となった。特にそう痒が強く睡眠障害を合併したため、ネモリズマブによる治療を開始した。治療開始後そう痒は2日間軽快したが、3日後から再燃し躯幹四肢に水疱、びらんを伴う紅斑が出現した。抗BP180抗体が882.5U/mLと上昇しており、病理組織では多数の好酸球浸潤を伴う表皮化水疱を認めたことから水疱性類天疱瘡と診断された。PSLを開始するも、3週間後にさらに抗BP180抗体が上昇したため、CyAの併用を開始した。併用後も少数の水疱新生が持続し、治療開始6週間後にIVIG療法を併用した。その後水疱新生はなく、PSLを徐々に漸減できている。

監修者コメント

抗IL-31受容体Aモノクローナル抗体であるネモリズマブは、アトピー性皮膚炎に伴うそう痒に対して用いられる薬剤である。本文献では、ネモリズマブ投与後に発症した水疱性類天疱瘡の1例を報告している。ネモリズマブ投与後に水疱性類天疱瘡を発症した症例はこれまでに報告がないが、投与中に水疱やびらんを伴う紅斑などを認めた際には、本副作用も考慮し、適切な処置を行う必要がある。

著者(発表者)
益雪凌介ほか
所属施設名
福岡大
表題(演題)
ネモリズマブ投与後に発症した水疱性類天疱瘡の1例
雑誌名(学会名)
第75回日本皮膚科学会西部支部学術大会プログラム・抄録集 217 (2023)
第75回 日本皮膚科学会西部支部学術大会 (2023.9.16-17)

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