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プロプラノロールによるCK値上昇、粗大運動発達遅滞

2023年12月掲載

薬剤 プロプラノロールその他の個々の器官系用医薬品
副作用 CK値上昇、粗大運動発達遅滞
概要 生後3ヵ月、女児。左上眼瞼の混合型乳児血管腫で、血管腫の増大による遮蔽性弱視の予防のためプロプラノロール内服療法(2 mg/kg/day)を開始した。生後11ヵ月時、“はいはい”やひとり立ちをしないなどの粗大運動発達遅滞を認めた。また、血液検査所見ではCK 1030 IU/Lと上昇を認めた。内服薬を漸減、中止したところ速やかに正常値まで低下した。1歳3ヵ月時にはひとり歩きが可能となり、現在の2歳時までにCK値の上昇や運動発達遅滞は認めず、経過中に他の疾患を疑う症状も認めていない。

監修者コメント

乳児血管腫に対して、βブロッカーであるプロプラノロールの内服療法は安全で有効な治療として一般的になっている。本症例は、プロプラノロールが原因と考えられるCK値上昇と粗大運動発達遅滞を認めた乳児血管腫の1例である。同療法に伴うCK値上昇について過去の報告はないが、他の疾患や年齢層でβブロッカー内服に伴う原因不明のCK値上昇の報告が散見されている。同療法の稀な副作用として、CK値上昇と粗大運動発達遅滞を発症する可能性があることを認識すべきである。

著者(発表者)
桑原広輔ほか
所属施設名
静岡県立こども病院形成外科ほか
表題(演題)
プロプラノロールが原因と考えられるCK値上昇と粗大運動発達遅滞がみられた乳児血管腫の一例
雑誌名(学会名)
第19回 日本血管腫血管奇形学会学術集会/第14回血管腫・血管奇形講習会プログラム・抄録集 54 (2023)
第19回 日本血管腫血管奇形学会学術集会 第14回 血管腫・血管奇形講習会(2023.9.7-8)

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