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サリルマブによるびまん性肺胞出血

2023年12月掲載

薬剤 サリルマブその他の代謝性医薬品
副作用 びまん性肺胞出血
概要 79歳、男性。関節リウマチで当院へ定期通院中、コントロール不良のため受診7ヵ月前からサリルマブが開始された。血球減少の副作用のため投与間隔を延長し継続中、受診10日前から呼吸困難を自覚し当科を紹介受診した。来院時38℃台の発熱を認め、胸部CTでは両肺にびまん性にすりガラス陰影を認めた。気管支鏡では血性の気管支肺胞洗浄液が回収された。ANCAなどの自己抗体の新規陽転化は認められず、サリルマブによるびまん性肺胞出血と臨床診断した。サリルマブの中止とステロイド治療により臨床症状と画像所見は軽快した。

監修者コメント

抗IL-6受容体抗体であるサリルマブは、既存治療で効果不十分な関節リウマチの治療薬として使用されている。本症例は、サリルマブが原因と考えられたびまん性肺胞出血の1例である。本薬剤による間質性肺疾患は報告されているが、肺胞出血の報告はない。生物学的製剤の使用中にびまん性肺陰影を認めた場合には、稀ではあるが肺胞出血の可能性も念頭に置く必要がある。

著者(発表者)
成田巧ほか
所属施設名
加賀市医療センターほか
表題(演題)
サリルマブが原因と考えられた関節リウマチに合併したびまん性肺胞出血の1例
雑誌名(学会名)
気管支学 45(4) 292 (2023)
第76回 日本呼吸器内視鏡学会北陸支部会 (2023.5.28)

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