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釣藤鈎による賦活症候群

2023年9月掲載

薬剤 釣藤鈎生薬
副作用 賦活症候群
概要 43歳、女性。X年8月頃から不安、いらいら、パニック発作、うつ状態、子供を怒る、疲れるといった症状が次第にひどくなり、体力が低下しているようにも感じていた。体に優しい治療を希望して受診した。柴胡加竜骨牡蠣湯に釣藤鈎、黄耆、蒼朮、芍薬、当帰、牡丹皮、陳皮、乾姜、升麻を処方した。服薬を始めて1週間以内に「テンションが上がり、気分が興奮する、叫んだり、笑ったりする」ようになった。薬の効きすぎかと思われたので、自分で煎じ薬を1/2に減薬して服薬したところ、数日で落ち着いた。不安、いらいらなどは著明に軽減していた。パニック発作、うつ状態はほぼ落ち着いて、子供を怒ることもなく、漢方薬はよく効いていると感じていた。その後、釣藤鈎、黄耆を減薬、牡丹皮なしにして経過をみている。

監修者コメント

賦活症候群とは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)などの新規抗うつ薬の副作用として生じやすい中枢神経刺激症状である。不安、焦燥、不眠、衝動性、易刺激性、パニック発作、躁状態などの症状が生じる。本症例は、漢方薬である釣藤鈎のセロトニン作用で生じたと考えられる賦活症候群の1例である。漢方薬でも賦活症候群を生じることがあるため、注意が必要である。

著者(発表者)
藤原二郎
所属施設名
東洋クリニック
表題(演題)
釣藤鈎のセロトニン作用で生じた賦活症候群の1例
雑誌名(学会名)
漢方の臨床 70(5) 487-489 (2023)

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