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ヨウ化カリウムによる肝障害

2023年9月掲載

薬剤 ヨウ化カリウム滋養強壮薬
副作用 肝障害
概要 28歳、女性。X年5月、バセドウ病と診断され、チアマゾール(MMI)による治療が考慮されたが副作用を懸念し希望されず、また初診時に肝障害を認めたことからヨウ化カリウム(KI)100mg/日の内服にて治療を開始した。KI開始2日目に消化器症状の訴えあり50mg/日に減量、8日目には甲状腺機能が改善する一方、肝機能はさらに悪化した。健康食品や漢方薬の使用はなく、B、C型肝炎マーカーは陰性、IgG等の免疫グロブリンは基準内、抗核抗体、抗ミトコンドリア抗体も陰性であることから、KIによる薬剤性肝障害が疑われた。12日目よりKI休薬しMMI10mg/日より開始したところ、62日目には甲状腺機能、肝機能ともに概ね正常化し、その他の副作用の出現もなかった。DDW-J 2004ワークショップのスコアリングは4点であったが総合的に勘案し、KIによる薬剤性障害と診断した。

監修者コメント

本症例はバセドウ病治療中にKIによる薬剤性肝障害が疑われた1例である。KIはバセドウ病治療において大きな副作用を起こしにくいことから使用頻度が増えているが、本症例のように稀ではあるが薬剤性肝障害を起こす症例もあるため、注意が必要である。

著者(発表者)
野中良平ほか
所属施設名
大分赤十字病院内分泌・糖尿病内科ほか
表題(演題)
バセドウ病治療中、ヨウ化カリウムによる薬剤性肝障害が疑われた一例
雑誌名(学会名)
日本内分泌学会雑誌 99(1) 365 (2023)
第96回 日本内分泌学会学術総会 (2023.6.1-3)

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